グルメ
懐かしく新しいパンに心なごむ<瀬尻製パン店>安来
昭和22(1947)年創業、心を込めた手作りのパンや蒸しまんじゅうでおなじみ。
初代から続く昔ながらの素朴な味わいを守りつつ、トッピングや具材に時流と顧客の声を活かしており、桜あんに求肥(ぎゅうひ)を包んだモチモチ食感が楽しいさくらもち風パン、ボリューム感に満足のハンバーグカレーパンなど、温故知新な品ぞろえが魅力。
レトロなパッケージ商品にもつい手が伸びる。
左上から時計回りに
ハンバーグカレーパン/238円、塩こんぶパン/141円、さくらもち風パン/238円、いちごパン/270円
しっとりした生地に、桜色のあんが織り込まれたさくらもち風パンは春の新作。
バニラクリームにいちごジャム、カットしたいちごが添えられたいちごパンの華やかな香りは春ならでは。
塩パン、カレーパンといった定番メニューには独自の工夫が。
「ブームになった塩パンですが、うちでは塩こんぶを織り込んで一工夫しています。またカレーパンもそのままではおもしろくないので、ハンバーグをトッピング。ボリュームも出ますよね」
と、瀬尻製パン3代目・瀬尻正人さん。
パンと塩こんぶが、まるでおにぎりのようだったり、1つでカレーもハンバーグも楽しめたり。
モットーの「ワクワクして愉しくなるパン屋」そのままの逸品たちに、目移りしてしまう。
パッケージの色使いや文字に時代を感じるパンたちは、食べたときの懐かしい味わいも大切にしている。
冷凍での取り寄せにも対応しており、レトロ感が好評だそう。
創意工夫を凝らした菓子パンや総菜パン、毎朝の食卓に欠かせないプレーンな食パン、お土産にもできる蒸しまんじゅうなどなど、40~50種類のラインナップから、毎日30種類ほどが店頭に並ぶ。
市内外に卸もしているため、店頭で品切れの場合は、声をかければ出していただけることも。
気安い感じの接客も同店ならではだ。
「独自性のある商品と、お客さんとのコミュニケーションを大事にしています。創業から76年もの間、愛していただいているパン屋。古いものを大事にしつつ、飽きのこないパン作りにはお客さんの意見も参考にしてきました」
長く続いている秘訣はどうやらこのあたりにありそう。
パワフルで、あふれる好奇心に満ちた瀬尻さんは今年61歳を迎えた。
新しい商品を考えたり、他業種とコラボしてみたり、進化を止めることがない。
「出会いやつながりが宝です。多伎のいちじくや、安来のミカンなど、地域の生産者と協力したものを作れば、どちらも盛り上がります。ちょっとした贈り物に使えるようなスコーンやブラウニーといった焼き菓子も置きたくて、今も試作をしているところです」
このフットワークの軽さ! 古くて新しいパン屋の挑戦は、この先もまだまだ続く。