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創る◇◆◇洋服クリエーター 楠原智美さん【米子市】

長く着てもらえる一着を
中央の大きな木製作業台を囲むようにミシンが置かれ、レースの照明カバーも愛らしいアトリエで、レディース服を作る楠原智美さん。制作した服やバッグなどをアトリエに併設するショップ「atelier free land-2nd(アトリエ フリーランド セカンド)」で不定期に販売している。
子どものころからものづくりが好きで、出産後、娘のスタイを作ったことをきっかけに子ども服や端切れで小物を作り始め、フリーマーケットに出店すると、「どこにお店がありますか」と度々尋ねられ、「お店を出したい」との思いを強くしていった。
服や雑貨の店によく出かけていた楠原さん。子どもと一緒に行ける店が少ないと感じていたことから、お母さんが子ども連れで来られてゆっくりできる店を2009年、米子市両三柳にオープン。2024年、同市皆生新田に移転した。
服作りは自由にイメージを形にするところが面白く、魅力を感じている。イメージ通りに仕上がるときばかりではないものの、「それはそれでまた面白く、どっちにころんでもいいというところが楽しい」と目を細める。
店を始めたころは、作ること自体が楽しく、例えば襟の左右で色が違うなど少々奇抜な印象の服を作っていたが、ふと、「自分は着る?」と自問したところ、答えは「着ない」だったと笑う。以来、「自分は着るだろうか?」を基準に作っている。
常に大切にしているのが、長く着てもらえる服を作ること。夏は涼しく、冬は暖かく、着回し力があり何でも合わせられ、日常着だけれどちょっと個性がある。さらに同じものは2枚作らない。全て一点もの。店頭の服でも、もう少し袖を長く、短く、ボリュームが欲しいなどの要望に応え、その人だけの一着を仕上げる。
使用する生地は綿や麻、綿麻素材で、肌なじみが良く、汗も吸収してくれて、シルエットがきれいに見えることなどが気に入っている。
「着心地がいい」「着やすい」「どこの服ですか」と聞かれたといった声や、「友人が着ていて、私も作ってほしい」と来店してもらえることはとてもうれしく励みになっている。
「これからも変わらないスタンスで服作りを続け、店舗では他の作家作品も一緒に並べ、来店の楽しみを充実させたい」
今後のクリエーションに大きな期待が寄せられている。
プロフィール
すはら・ともみ 1973年生まれ。
子どものスタイや洋服などの制作を始め、フリーマーケット出店を重ねたのち、2009年「atelier free land(アトリエ フリー ランド)」を米子市両三柳にオープン。2024年同市内に「atelier free land-2nd」を移転オープン。制作期間とショップオープン期間を分けている。
次回のショップオープンは7月19~22日「夏色展」。
各種情報はインスタグラム「@atelier_freeland_2nd」で発信する。

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