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島根県立美術館企画展「森山大道 光の記憶」 森山さんインタビュー<PR>

6月26日まで開催中

「僕のルーツはここに」 森山さんが語る故郷、家族

僕の本当の記憶を植え付けてくれた場所。

僕の写真に関わることのルーツは島根、宅野にあります。

写真は「記憶」。それぞれの記憶を感覚して、フッと感じてもらえればいい。

    ――――――森山さん

スナップショットの帝王として知られる、島根県ゆかりの世界的写真家・森山大道さん(84)の貴重な作品や資料を一挙公開する企画展「森山大道 光の記憶」が、6月26日まで松江市袖師町の県立美術館で開催中だ。

初日には森山さんが来場。島根や家族への思いを語った。

▼profile プロフィール

森山大道(もりやま・だいどう)

写真家。大阪府池田市生まれ。第11回日本写真批評家協会新人賞、日本写真家協会年度賞、第44回毎日芸術賞、ドイツ写真協会文化賞、ハッセルブラッド財団国際写真賞などを受賞。日本のみならず、海外でも高く評価されている。

―大阪生まれの森山さん。島根県宅野村(現在の大田市仁摩町宅野)での体験や家族が“今”に与えた影響は。

宅野で過ごしたのは第二次世界大戦の終戦前後、1歳ごろからの1年余りと、終戦直後の小学3、4年の2年間。この小学生のとき、初めて海や山に触れました。海に入るのは初体験で、鉄道の山陰線のずーっと向こう側に山が見えた。

大きな自然に初めて触れたのが、宅野でした。そういう最初の記憶は、その後の何十年にも関わってくるんです。海外も含めどこかの海に行くと、すーっと宅野の海が浮かんでくる。僕の本当の記憶を植え付けてくれた場所。僕の写真に関わることのルーツは島根、宅野にあります。

風土はもちろんですが、僕にとってはやはり親父(おやじ)の生まれたふるさとなんです。来ると「親父、来たぞ」という感覚になる。親父が生まれた場所で、そこからの関わりにこだわってきた場所。そういう意味でも、宅野と僕はずっとつながっているんです。

写真を初めて撮ったのは小学6年生ごろ。姉や弟を撮った。両親は父が東京の大学に入学した時期、神保町あたりで知り合ったらしいですね。2人とも俳句などをたしなむ文化系で、家には本がいっぱいあって、日常の会話にも出てきた。そんな環境から、いつの間にか組み込まれたということはありますね。

―館内でも撮影されていた。どんな場面で撮る?

延々と歩く。街を歩く。歩くことによってしか生まれてきていないんです。とりあえず撮る、感じた一瞬を撮るだけ、その累積です。撮る理由なんて考えない。考えたらスナップ写真は撮れないですよ。その時の体調、その時の天候も含め、その一瞬に感覚したワンショットを撮るということ。コロナ禍も、当初数日は家にとどまりましたが、すぐ外に出た。街に人がいなくても、みんながマスクを着けていても、とにかく外に出た。

―島根県での大規模な展覧会は20年ぶり。今展に来場した方に感じてほしいことは。

今展のタイトルにもなっているが、すべての写真には「記憶」がある。ご覧になる方が、写真からそれぞれの記憶を感覚して、フッと感じてもらえればいい。写真とはそういうもの。あまり深い意味とか意図はなくて、ご覧になる方がふっと自分の記憶をよみがえらせていただければいい。

僕が見たもの、僕がそのとき感じたことは個人的なことに過ぎないワンショットだが、いったんメディアに乗れば、僕がどう感じていたかなんてどうでもよい。自分からいったん離れます。コピーです。

そのコピーを、それぞれがコピーしていただければよいです。ささやかでいいから、記憶を感じていただければうれしいですね。

ドキュメンタリー映画、コラボTシャツ、限定ランチ… 多彩な森山ワールドに注目!!

コントラストの強いストリート・スナップで知られ、国内外のクリエイターから絶大な支持を集めてきた森山さん。会期中は、ドキュメンタリー映画の上映や美術講座、スライドトークなど森山さんの写真世界の魅力に触れる多彩なイベントも企画されている。

なかでも注目は、森山さんの素顔に迫るドキュメンタリー映画『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』。

もともと森山さんの写真が好きで、高校時代から森山さんの写真集を見ていたという俳優・菅田将暉さんがオープニングナレーションを担当。「深い深い黒く美しい写真には、何よりも夢と心がある。僕は、見えていないものばかりだ。」と推薦コメントを寄せる。

同じ大阪・池田の町に生まれ育ったという共通点も持つ2人は、2016年に映画『あゝ、荒野』のポスター撮影で初めて出会ったという。ナレーションは約4分間にわたり、森山さんの写真の魅力について語っている。関連イベントの美術館キネマで6月10日(土)に上映する。

●Event イベント

美術講座「森山大道 光の記憶」(聴講無料・当日先着順)
[講師]蔦谷典子・島根県立美術館主任学芸員(本展企画者)
[日時]5月28日(日)14時~(13:30開場、約90分)
[会場]美術館ホール(190席)


スライドトーク(聴講無料・当日先着順)
[講師]蔦谷典子・島根県立美術館主任学芸員(本展企画者)
[日時]6月4日(日)14時~(13:30開場、約60分)
[会場]美術館ホール(190席)


美術館キネマ(鑑賞無料・当日先着順)
[会場]美術館ホール(190席)
○「near equal≒森山大道」(84分+10分インタビュー/日本/2002年/藤井謙二郎監督)
[日時]5月27日(土)①10時30分~②14時~(各回30分前開場)
○「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道」(112分/日本/2020年/岩間玄監督)
[日時]6月10日(土)①10時30分~②14時~(各回30分前開場)
○「記録」MOVIE IN LONDON 森山大道(60分/日本/2013年/佐藤充監督)
[日時]6月17日(土)①10時30分~ ②14時~(各回30分前開場)

●gourmet グルメ

森山大道展 期間限定ランチコース

館内レストランでは宅野にちなみ、大田産鮮魚のフリット、石見ポークステーキなど石見地方の食材を取り入れたメニューが登場。

税込3,000円

●goods グッズ

展覧会図録「森山大道 光の記憶」

(税込3,300円)

BEAMS(ビームス)

コラボTシャツ(2種)税込各5,500円

BEAMS(ビームス)

ピクチャープレート(3種)

税込各9,900円

■企画展「光の記憶 森山大道」
会  期:6月26日(月)まで
開館時間:10時~日没後30分(展示室への入場は日没時刻まで)
休 館 日:火曜日

島根県立美術館
住所:島根県松江市袖師町1-5
電話:0852-55-4700
https://www.shimane-art-museum.jp/

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