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タウントピックス~参加型納棺 さくらびと (出雲市)

残された遺族の心の安寧のために

  参加型納棺~さくらびと         
 故人の家族に寄り添う「復元納棺師」をご存じですか。出雲市で参加型納棺を手掛けるさくらびと代表で、復元納棺師の狩野京子(かのうきょうこ)さんを訪ね、参加型納棺への思いを聞いた。

 狩野京子さんは、島根県立中央病院で看護師として長年勤務し、看護局次長を務め、同病院に勤務しながら、博士号(看護学)を取得。2018年に定年退職したのち、宇部フロンティア大学人間健康学部看護学科で教員として学生の指導にもあたり、昨年退職。その後、参加型納棺「さくらびと」を開業した。

   

 復元納棺師というのは、故人の生前の姿により近づける処置をして納棺する技術を持つ人のことで、国家資格ではないが、研修を受けなければ開業することができない。

 参加型納棺とは、故人の家族が納棺までをただ見守るだけでなく、納棺の前に、納棺師と一緒に白装束などに着替えさせたり死化粧をしたりして、家族が参加する納棺のこと。「故人に触れたり、化粧してあげることで、死を受け入れ、ただ悲しいだけにならず、ちゃんとお別れができ、喪失体験をやわらげることができます」と狩野さん。

 看護師として働いていたころ、知人から紹介された「納棺夫日記(青木新門著)」を読み、納棺師の仕事を知った。大学退職後、これから何ができるだろうかと考えるなかで、ふと、この本のことを思い出し、気になりだした。

 人は生まれたら死ぬ。生まれてよかったね、亡くなってお疲れさま、とワンセット。生まれることはいいこと、死は悪いこと、避けるものということではない。「家族の死に直面し悲しみにくれる遺族に手を差し伸べられないか。亡くなって終わりでなく、その後の故人の尊厳を守り、残された家族をサポートするプロがいていいのでは」との思いから、参加型納棺を行う納棺師の道へ一歩踏み出した。

   

 狩野さんは、岩手県北上市の復元納棺師・笹原留似子さんが開催していた研修に参加。笹原さんは、東日本大震災の際にボランティアで多くの遺体の復元に携わった人で、笹原さんの人柄や考え方にも共感し、「感覚的に合う師に巡り合えた」と振り返る。

 開業にあたり、「さくらびと」としたのは、桜には精霊が宿るとされることから。師である笹原さんの会社が「桜」、北上市の名所に桜並木があることからも命名した。

   

 県立中央病院で「私を育ててもらった」と狩野さんが慕う当時の看護師長だった安部俊子さんや、経験豊富な理容師の布野伸一さん、三枝(みえ)さん夫妻(理容ふの)らもスタッフとして参加。闘病後に亡くなられると髪が伸びたままのことも多く、家族の要望に応えてエンディングカット(調髪)も行っている。いつも故人をそばに感じていられるよう、遺髪を差し上げてもいる。

 故人を穏やかな表情にしてあげることで、残された家族の心のケアにつながる。妻が、夫が、子どもが、時には孫が死化粧の最後をしてあげることもあり、きれいになった姿を見て、触れて、故人との思い出話に花が咲き、和やかな笑顔に包まれることもあるという。

   

 以前、参加型納棺で妻を見送った夫に、つつましかった妻が生前そうであったように、化粧は控えめにしてほしいなど、希望通りにしていただいたと感謝してもらえた。「それこそが参加型納棺が目指すところ」と狩野さん。

 これから、参加型納棺により「身支度を整えて旅立たれたと満足される家族が増えるよう、同じ思いをもつスタッフとともに心を込めてお手伝いしていきたいと思っています。スタッフの募集もしていますので、お問い合わせいただきたいです」と話した。


参加型納棺 さくらびと

<料金>

処置内容により異なるが、フェースマッサージや復元、エンディングカット、死化粧、仏衣の着衣、棺内の演出など含め、最大4万円程度。死化粧のみなどの依頼にも応じている。

   

<問い合わせ先>

住所:出雲市斐川町名島406

電話:090-4145-1755(狩野京子)

HP:こちらから


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