読みもの

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<PR>西洋的追究か、東洋的解脱か。 ― 小泉 清 その生涯とコレクション展

小泉 清  その生涯とコレクション展
2023.10.6Fri-2024.6.9Sun
小泉八雲記念館

 小泉八雲の三男として生まれ、生涯西欧と東洋・2つの血のはざまで苦悶し続けた画家・小泉清の作品が一堂に会する企画展が、10月6日から2024年6月9日まで小泉八雲記念館で開催される。

 

 同館がコレクションする作品13点を一挙公開。絵の具のチューブから直接キャンバスに絞り出して描いていた重厚な油絵、淡い色調が優美な水彩画、墨や色鉛筆を用いた人物画…全くタッチを異にする作品には、清が生涯持ち続けたという自らのルーツに対するアンビバレンスな感情を垣間見るよう。

 

「繪を描くということは死闘である」
昭和24年3月26日小泉清の日記より

小泉清の生涯

 1899年12月20日(明治32年)、小泉八雲の三男として東京・市ヶ谷に生まれる。4歳のとき父が他界。八雲の教え子・會津八一に才能を見いだされ、東京芸術学校西洋画科に進学。
 3年で中退後、モデル嬢をしていた針シヅと結婚、しばらくヴァイオリンで生計を立てたが再び絵筆をとるようになる。
 1946年(昭和21年)、46歳のとき第1回新興日本美術展で読売賞を受賞、画壇デビューを果たす。フォーヴィズム(※)的な鮮やかな色彩と厚塗りの絵の具で独特のスタイルを作り上げた。
 61歳のとき、最愛の妻・シヅに先立たれ、2カ月後の1962年(昭和37年)2月、「血が複雑すぎたのだろう」と遺言を残し、妻の後を追うように自らの命を絶った。

※フォーヴィズム
現実をありのままに描く写実主義と異なり、目に映る色彩ではなく心が感じる色彩を表現する20世紀はじめに起こった芸術運動

油彩作品と一変、穏やかな色調で描かれた水彩画。
一度も外遊することがなかった清だが、どことなくルーツである父=西欧の美的感覚がにじみ出る

父・八雲との“邂逅”

 日本人であることを愛し、同年代の画家らがこぞってパリに留学する中かたくなに国内で自らの芸術を突き詰めたにも関わらず、その画風は「どこか西洋の匂いがする」と評された清。
 50歳となる1950年(昭和25年)、八雲生誕100年の記念式典に招待され、父母ゆかりの地・松江を訪問。島根半島や隠岐島を巡り多くのスケッチを描いた。生涯にわたり自身の内の西欧と東洋との対立に苦悶し続けたという清だが、父の肖像を2枚残し、また没後、清のアトリエからは八雲の遺髪が見つかっている。
 父と息子…二人に共通する創作への燃焼を、本企画展で感じてほしい。

遊び心のある筆運びにモダンで自由な空気を感じる自画像。
同じく墨を画材に描かれた2点の「ヘルン像」とも会場で対面してほしい
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