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WEBでも教えて! 青山せんせい よりよい「やるやる期」のための考え方と具体的な声かけ 編
りびえーる本紙でも大きな反響をいただいている子育て応援企画「教えて!青山せんせい」のWEB版。
就学前から10代後半までの子どもたちを持つ親&祖父母へ向けて、毎回さまざまなテーマをお届け。どの世代へ向けたお話も、どこかで必ずあなたのお子さん・お孫さんにつながるのが不思議です。
子どもも親も祖父母も幸せになる…子育てを楽しんじゃうヒントを、この連載で見つけてください!
よりよい「やるやる期」のための考え方と具体的な声かけ 編
日々忙しく、タイパ(タイパ=時間対効果)を重視したい親にとって、「イヤイヤ期=やるやる期」は本当に面倒なもの。
子どもにじっくり付き合おうにも、時間が無限にあるわけでもなく、理想と現実の間でストレスMAX!
でも「イヤイヤ」にどう向き合うかが重要なのもなんとなくわかる…。
そこで、この正念場(!)を乗り切るための考え方に加えて、具体的な声かけ例を聞いてみました。
それでは今回も…教えて!青山せんせい!
イヤイヤ期は「自我の芽生え」の時期
「イヤイヤ期」は、一般的に2歳から3歳…いいや4歳ころまで続く、子どもに見られる発達段階で、自己主張が強くなる時期です。
「自己主張が強くなる」んです。
この時期の子どもは「いや!」と反発することが多く、そこからイヤイヤ期と名付けられたに違いないです。
でも、その見方はとってももったいないなと、いつも私は思うのです。
イヤイヤ期は親にとっては、初めて出会うわが子の反抗。
これまではとっても穏やかで聞き分けがよく(そうじゃない子もいますが…)、かわいいかわいい私の赤ちゃん!だったのに、イヤイヤ期という“大きな荒れ”には、多くの親は大きなストレスを抱えてきました。
イヤイヤ期の原因の一つに見えるものに、先にも書いた「自己主張」があります。
自己主張というと、少しネガティブなイメージを抱える人がいるかも知れませんね。
言い換えたらこんな感じです。
「自我の芽生え」
これではどうでしょう?
これまで赤ちゃんだった子供に「自我」が芽生え、自分を形成していくのです。
自分の感覚を精一杯使って、子どもは自分のアイデンティティを形成し成長発達するんです。
自分の周りの環境の中で、いろいろなことを試しながら。
イヤイヤ期は、子どもの成長過程における自然な現象であり、全ての子どもが経験する欠かせないものです。
とはいっても親としては、しっかりしつけなくてはと思うでしょうし、日常生活を忙しく送るうえで、もっとスムースにできないか、できれば子どもが自主的にやってくれないかな…と期待するものです。
ただ、このころのお子さんはまだ生活習慣を主体的に取り組むのは難しいものです。
やる気はあるのですが、主体的に親の期待に応えることは難しいんです。
ここから、イヤイヤが発動しがちな具体的な場面をイメージしてお話していきますね。
お風呂や寝る時間への「イヤイヤ」
例えば、子どもが「お風呂に入りたくない」と泣き叫ぶことは多く、親は困惑します。
誰もが経験することでしょう。
これから寒くなるとなおさらで、お風呂や寝る時間への「イヤ」には「早く早く」と言いがちになるようです。
寒いし風邪をひかせたくないですからね。
対策イメージとしては、「遊びを取り入れたり、楽しい雰囲気を作ることで、子どもを誘導してみる」でしょうか。
お風呂・寝る・歯磨きへのイヤイヤに対しては、
「お風呂に入ると、ポカポカして気持ちいいよ」
「(お風呂グッズ)が○○ちゃんはやく一緒にお風呂入ろうって待ってるよ」
なんていうのもいいかもしれません。
この時期の子どもは、ものを擬人化すると意外にすんなりということを聞いてくれる場合があります。面白いですよね。
また、
「おやすみすると、楽しい夢が見られるかもね」
「歯を磨いて虫歯さんにバイバイしよう」
というのもいいかもしれません。
服や持ち物、遊びへのこだわり
イヤイヤ期の子どもは、特定の服や持ち物に強いこだわりを持つことがあります。
例えば洗濯中の服を着たいと主張することがあり、親はその要求に応じるかどうか悩むことが多いです。
このこだわりは、子どもが自分の選択を通じて自己主張を行う一環と考えられます。
服や持ち物のこだわりに対しては、
「〇〇が大好きだよね でも、乾くまで△△を着てみようか」
「〇〇を持って行きたい気持ち、よくわかるよ。でも、今はちょっと難しいかな」
こんな風に伝えてみてください。ただ100%上手くいくとは限りません。だってそれがイヤイヤ期だからです。
遊びの場面での癇癪(かんしゃく)などもよくある話です。
これらの癇癪は、大人の介入に対する反応です。
遊びの場面でうまくいかないとき、大人が手を出すと癇癪を起こすことがありますね。
例えば、自分でやろうと思っていたことがうまくできないときに大人が助けると、「自分でやりたい!」と怒ることなど。
何か思い通りにしたいけれどもできなくて、ちょっと親が手を出したら癇癪が起こる…経験はないでしょうか?
この反応は、子どもが自立心を育てようとしている証拠でもあります。
遊びの場面での癇癪への声掛けは、
「〇〇がうまくいかなくて、がっかりしたんだね」
「一緒に頑張ってみようか」
こんなところでしょうか。
親のタイパ重視と子育てのジレンマ
世の中のタイムパフォーマンス重視の影響は、子育てにとって深刻です。
現代の親はタイパを重視する傾向がありますが、子育ては時間がかかることが多いものです。
いやむしろ、ゆっくりと無駄なことをたくさんしながら育つものです。
簡単にいうと、子どもが経験する無駄なことが「経験」という幅になり思考力を深めます。
タイパ重視が子育てにもたらす影響は、親は子どもとの関係性や子供の経験不足に現れます。
次第にタイパと子育ては対極にあると感じる親も多くいます。
しかし、ゆっくり見守ってあげたいがそうはいっても時間がない現代の親たちは、どうにかしたいのにうまくいかない状況にストレスを感じるようです。
イヤイヤ期のわが子に対して、タイパ重視ではダメだと感じているにもかかわらず「今すぐどうにかしたい」と思いがちになるんですよ。
ここで、これまで話してきたことからちょっと視点を変えてほしいのですが…
イヤイヤ期を「やるやる期」と捉えてほしいのです。
ポジティブな視点の重要性
イヤイヤ期を、自我が芽生えて自分を育てるために必要な「やるやる期」と捉えることで、親は子どもとの関係をより良くすることができます。
この視点を持つことで、子どもが自分の意見を持つことを尊重し、共に成長する機会と捉えることができるようになります。
「イヤ」と言われたら、まずはその気持ちを受け止めましょう。
「〇〇したいんだね」「〇〇が嫌なんだね」と共感の言葉をかけてあげることが大切です。
いつもはできなくてもいいです。
たまにで十分なので、共感をしてあげてください。
そして、一人で頑張らないでください。
「一緒に遊んであげて」とお伝えしていますが、この頃の子どもは一人でも何かに没頭できます。
ですので、イヤイヤ期にお子さんが何かに夢中になっているときは、親もリラックスの時間を率先してとってくださいね。
イヤイヤ期は、子どもが成長するための大切な時期です。
子どもの気持ちを尊重し、根気強く向き合っていくことが大切ですが、同時にお母さんの心も大事です。
子どもだけを優先しなくてもいいんです。
何かしてあげなくてはと思った時は、その半分くらいでいいかなと思ってください。
子育てを面白がってくださいね!
「しあわせなおかあさん塾」青山節美さん(松江市)
親学ファシリテーターとして4,000人以上のお母さんたちと接する中で、「親が変われば子どもの未来は変わる」を理念に2018年同塾を開講、講座動員数は現在延べ1万人以上。
登録者数4.1万人(2024年10月末現在)を数えるYouTubeチャンネル「未来へつながるしあわせな子育て塾」でも迷える親たちへ具体的なヒントとエールを送り続けている。