おでかけ・イベント

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レトロ ノスタルジック ディープな街― 美保関へのお誘い―ぶらっと旅ガイド「あ・るっく」2024春

島根半島の東端。古事記ゆかりの地としても知られ、昔ながらの風情が残り、ゆったりとした時間が流れている街、美保関をご紹介します。

のんびり、心がおもむくままに散策を楽しんでみてください。“七日だけ”や“雨の日だけ”のお楽しみも♪

青石畳通り

雨に濡れると現れる青みがかった色合いの石が敷き詰められた青石畳通り。

北前船でにぎわった当地の荷物を運ぶ「舗装道路」。雨の日にしか見られない、しっとりとした通りの趣も格別。

おかげの井戸

干ばつの際に、この場所から湧き出た水で多くの町民が救われたことから名付けられた。

美保神社

えびす社の総本宮。大社造り本殿2棟を装束の間でつなぐ「美保造り」と呼ばれる本殿は、国の重要文化財に指定されている。

向かって左にえびす様として知られる事代主神(コトシロヌシノカミ)、右に三穂津姫命(ミホツヒメノミコト)がまつられている。

\巫女舞が見られるかも/

\幸運の亀の石像を探してみよう/

\毎月7日には「七日えびす」が/

男女岩(めおといわ)

本庄方面から美保関へ向かう道沿いにあり、その姿から子宝に恵まれるとの俗信が生まれ、縁結びの名所に。

福間館

江戸中期から美保神社参拝客らを迎える。本館2階のかもめ亭で、湾の景色を眺めながら「かもめ定食」(松3,000円、竹2,500円、写真は一例)や海鮮丼(1,500円)などのランチを(※前々日までの要予約)。

明治時代、船宿として使われていた古民家などをリノベーション。

国の登録有形文化財に登録されている濱延舎(はまのや)や、小泉八雲も愛した美保関の景色を体感できるへるんの小窓など全4棟。

見事なはりや土間、箱階段など、そこかしこに歴史を感じさせるものがあり、心がなごむ。食事や見学体験も可(要問い合わせ)。

美保館

国の登録有形文化財に指定されている本館は、数寄屋造りの本格木造建築。

建具や電灯など、当時のものも使われていてハイカラな雰囲気が漂う。

ほかに、大正元年建造の古民家をリノベーションしたレトロモダンな別邸柘榴(ざくろ)などのリノベ貸切古民家宿が5棟あり、のんびり美保関を満喫できる。

《ひと休み♪》4月7日 青柴垣神事(あおふしがきしんじ)


美保神社の祭神、事代主神が大国主神から国譲りの相談を受け、国を譲ることを承諾したのちに、その責任を取って自ら海中に青柴垣をつくって身を隠したという国譲り神話を再現した神事。12月の諸手船神事(もろたぶねしんじ)とともによく知られている神事。

桝谷鮮魚店

驚くほど大きなノドグロや白イカをその場で焼いてもらえる。

そのおいしさ、品質の良さから、県内外にファンが多い。話し上手な店主らとの会話も楽しすぎる。

太皷醤油店

伝統の製法でしょうゆ本来のうま味を届けている老舗のしょうゆ店。

自慢のしょうゆを使った「しょうゆあいす」も人気。アイスはほかに、ごま、抹茶、もろみも。

佛谷寺

後鳥羽上皇、後醍醐天皇の行在所(あんざいしょ)となった古刹(こさつ)。

大日堂には平安初期の一木造りで、国の重要文化財に指定された薬師如来座像などの仏像が安置されている。

入来舎(はいらいや)

佛谷寺の門前にあるお休みどころ。

コーヒーや抹茶、手作り弁当などを販売。日曜に営業(臨時休業あり)。

ただし、同所で不定期(月1~3回程度)でカフェ営業されることも。

※現在、伝統の縁起菓子はお休み中

美保関灯台

1898年に建てられた美保関灯台。

世界の歴史的灯台100選に選ばれ、国の重要文化財にもなっている風格ある白亜の灯台。

 

灯台ビュッフェで日本海を眺めながらのランチやティータイムはいかが。

4月からは毎週木曜定休、水曜は店内に入ることはできるが喫茶・食事は休み。

美保関資料館

美保関の歴史を紹介している。ぜひ「弐千両箱」を見てほしい。

沖の御前・地の御前

美保神社の飛地境内。灯台がある沖の御前と、地蔵崎ふもとの地の御前はえびす様がタイ釣りをしていた伝説の御前として知られている。

 


《ひと休み》美保関では卵を食べない?!

こんなえびす様の話を知っていますか?

えびす様が夜ごと船で海(現在の中海)を渡り揖屋の美しい女の神様のもとへ通われ、ある日、一番鶏が時間を間違えて鳴き、慌てたえびす様は船をこいで戻る途中に櫂(かい)を流してしまいました。仕方がないので、左足を櫂の代わりにしてこいでいるとワニ(サメ)に足をかじられてしまいました。やっとの思いで美保関に着いたえびす様の耳に、時の声が聞こえてきました。怒ったえびす様は、以来、鶏を忌むものとされ、美保関の人たちは鶏を飼うことをしなくなり、卵も食べなくなりました。

小泉八雲も宿の女性に「卵はありますか」と聞き、「家鴨(あひる)の卵が少し」との答えが返ってきたことを作品に書いています。

美保館の会長・定秀哲也さんによると、「えびす様の伝説で、美保関の人は時を間違えた鶏が悪いと鶏を忌み嫌って肉や卵を食べなかったけど、揖屋の人たちはえびす様の足にかみついたワニザメが悪いと、ワニザメをかまぼこにして食べて退治した。だからかまぼこの生産地になっているでしょう」と話されていました。

今も美保神社の神事の当屋にあたった人は、その間、鶏肉、鶏卵は食べないそうです。美保館では今でも、美保神社にお参りに来られたと分かっている宿泊客には、できるだけ出さないようにしているとのことでした。

現代においても、えびす様とともにある街のようです。


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