読みもの

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創る◇◆◇刺繍(ししゅう)講師・作家 大石絵里さん【松江市】

型にはまらない自由な発想で

刺繍糸をはじめ国内外製のビーズやスパンコール、レトロなボタンやレースなど、さまざまな素材を使い、自由な発想で作品を仕上げる刺繍作家・スモールワールドこと、大石絵里さん。

ブローチやバッグチャームなど、手のひらに収まる小さな世界をのぞき込み、その細かさにかなり器用でないとできないことと感じていたところ、なんと「私、手先がすっごく不器用で」と意外過ぎる一言。「ワークショップでは、不器用な私でもできるから皆さんもできますよというスタンスで。失敗したと思ったこともお気に入りの作品につなげられるので、安心して楽しんでいただいてます」とほがらかに笑う。

元々、パッチワークをしていた大石さん。パッチワーク作品に刺繍を施すこともたびたびあり、「これは面白い」と感じたのをきっかけに刺繍をメインで制作するようになり、5年前から本格的に刺繍作家として活動している。

刺繍の方法は、制作しながら見つけていった自分流。

原点であるパッチワークの要素も取り入れ、自分の好きなものはいとおしく、身に着けると気分も上がるからと「好きをデザインする」をコンセプトに制作している。

子育て中もおんぶしながら制作を続け、子どもたちが着ていたの生地やボタンを使って作品にし、「子育ての思い出も身に着けて楽しめるのも魅力」と話す。

型にはまらないのが大石さんならではだが、自由に作りながらも、きちんと一つの作品としてまとまるのは、「決め手となる1ピースにこだわっている」から。

色を決めて制作することもあるが、制作しながら色を決めていき、ぴったりの色の相性を見つけたときは「面白いなー」とつくづく実感。

絵を描くのも好きで、細かなところまで思い通りに描ける絵画作品のモチーフを、細部を省略して刺繍作品に仕上げる試みも。この絵と刺繍を一緒に展示するスタイルも好評。

現在はアクセサリーが中心だが、「今後は、洋服に直接刺繍したり、インテリアとして飾るアイテムを作ったり、いろいろ手がけていきたい」と、活動の幅を広げる。

大好きという「継続は力なり」の言葉通り、完成するまで大変だが過程を楽しみながら一針一針縫い進め、作家としての経験も積み重ねていく。

プロフィール

おおいし・えり 1979年生まれ。

18年前から趣味でパッチワークを始め、刺繍も手がけていたが、5年前から本格的に刺繍講師・作家「small world(スモールワールド)」として活動。現在はアクセサリーを中心に作品を制作、展示会やイベントなどで販売する他、ワークショップも開催している。

各種問い合わせはInstagram「@e_ smallworld」から。

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