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WEBでも教えて! 青山せんせい 子ども自身の成長力を支える! メリハリ育児のススメ 編

りびえーる本紙でも大きな反響をいただいている子育て応援企画「教えて!青山せんせい」のWEB版。

就学前から10代後半までの子どもたちを持つ親&祖父母へ向けて、毎回さまざまなテーマをお届け。どの世代へ向けたお話も、どこかで必ずあなたのお子さん・お孫さんにつながるのが不思議です。

子どもも親も祖父母も幸せになる…子育てを楽しんじゃうヒントを、この連載で見つけてください!

子ども自身の成長力を支える! メリハリ育児のススメ 編

全国のご家族から子育てや不登校の相談を受けている青山せんせい。

最近気になるのが、親子の関わりの中で「子どもの要求に対し“寄り添い”を大事にするあまり、境界線が取れていない」ことだそう。

親が要求に対してメリハリのある対応をすることも大事で、それがひいては、子ども本来の成長力を支えることにつながるようです!

今回は先生がすすめる、温もりで包み、線引きで守るメリハリ子育てについて考えます。

 


それでは今回も…教えて!青山せんせい!

 

行き過ぎてる? “寄り添う子育て”

 

最近目立つのが「子ども上位型の相談」です。

端的に言うと、昨今の「子どもの気持ちに寄り添う子育て」が独り歩きして、子どもの要求への境界が引けていない状態に陥っている、ということ。

わかりやすい例が、ゲームでもなんでも「あと五分だけ!」と子どもに懇願され、そのままズルズルと約束の時間が延びるケースです。

 

「先生に叱られたから学校に行きたくない」

「宿題をしていないから学校に行きたくない」

「友達が持っているから自分も欲しい」

「みんな持っている」

 

そういわれたら、共感を大切にしたいから強く叱れず、気づけば自分だけが疲れ果てている…そんな経験がある親御さんは少なくないはずです。

近年、こうした“優しさの空回り”を防ぎ、子どもの自律と安心を同時に育てることが大切だなと感じています。


優しさだけだと、共感や尊重はあるけれどルールが曖昧になりがちになり、親が疲弊します。

厳しさだけだと、ルールは明確ですが感情が置き去りになりがちで、子が萎縮することに。

共感は大事にしながら、決めたルールに対しても一貫性を持つ…このメリハリが大切かなと思います。

 

 

メリハリ育児、できていますか?

 

望ましいのは、共感しつつ自律への自覚も促せる、温もりと線引きのメリハリがある接し方です。

「気持ちはわかるよ」「手伝ってほしいんだね」と共感を示し、次に「けれどタブレットは5時半まで」「宿題はやろうね」「夜10時までには寝ましょう」と具体的な線引きを短く伝えます。

 

さらに大切なのが一貫性です。

この一貫性がなく、共感だけをただただ尊重し、結果ずるずるとなし崩し的に“寄り添う”という、メリハリのない状況がけっこう目立ちます。

 

いったん示した線は親自身も守り、子どもがルールを守れた瞬間は15秒以内に「時間通りにオフにできたね」と具体的に褒めることで、行動と承認が結びつきます。

逆に破った場合は、罰を与えるより「5分遅れた分、明日の開始を5分遅らせよう」と行動の結果をそのまま返す“自然帰結”の方が学びを深めます。

 

「しつけ」や「メリハリ」などいうと、どうしても厳しさを極端に考える人がいます。

罰を与えたり叱ったりすることを考えがちになりますが、メリハリとは「ルールを守る」「守れなかったら禁止や罰を与える」ということではありません

 

ポイントは「ルールを守りやすくする」こと

 

ルールについては、就寝時刻、デジタル機器の使用、兄弟げんかなど、家庭で混乱が起きやすい場面を優先して想定し、YES/NOを対で書くのがポイントです。

たとえば、「〇時まで読書OK / 〇時以降ゲームはしない」のように、やってよい行動とNG行動を一対にすることで、子どもが判断しやすくなります

「ここまではOK / ここからはNO」…この境界線は、子どもが安心して挑戦できる “バウンダリー(境界)”です。

まずは日常の一場面に「YES / NOセットの境界線」を考え、貼り出すなどして家族でシェアをし、守れた瞬間を具体的に褒めて認めるところから始めてみてください。

 

 ★ 例えば、ゲーム・動画視聴の時間を守る場面では…

  リビングでのタブレットは〇時まで(バウンダリー)

  終わったら一緒に夕飯の準備をしよう(優しさ)

  守れたら「時間通りでできたね」と伝える(一貫性)

 

守りやすい小さな線を引いて、守れた経験を重ねるたびに、次のようなステップで親子間のストレスが軽くなり、自律と信頼が少しずつ育っていくはずです。

  • 自律性が育つ…自分で「やめ時」を判断できるようになり、言い聞かせる回数が減少
     
  • 時間管理力が育つ…「時計を見る→行動を切り替える」の“実地トレーニング”で習慣化
     
  • 問題解決力が育つ…ルールを守れなかった時に“自然帰結”で学ぶことで、因果関係の理解が深まる
     
  • 共感と他者尊重が育つ…境界線を尊重される経験が、他者の線も尊重する姿勢につながる
     
  • 親子関係が安定する…叱責よりも「線を示す→承認する」対話が増え、信頼感が強化される

 

このように、メリハリ育児を続けると、ルールが明確になるぶん「ゴネ時間」が短縮し、親子の会話が叱責から承認へとシフトします

自分の欲求と外側からの要望、メリハリ(境界線)を守る練習は、やがて子ども自身の内なるブレーキを鍛え、時間管理や問題解決力、さらには他者の境界を尊重する姿勢へとつながっていきます

 

「しあわせなおかあさん塾」青山節美さん(松江市)

 親学ファシリテーターとして4,000人以上のお母さんたちと接する中で、「親が変われば子どもの未来は変わる」を理念に2018年同塾を開講、講座動員数は現在延べ1万人以上。

 登録者数4.33万人(2025年6月末現在)を数えるYouTubeチャンネル未来へつながるしあわせな子育て塾でも迷える親たちへ具体的なヒントとエールを送り続けている。

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