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ばんだい先生家計アドバイス<退職金・個人年金の受け取りは何がお得?>

ばんだい先生家計アドバイス~ここがポイント

☆ばんだい先生 家計アドバイス☆

 あなたのお宅の家計はいかがですか? ファイナンシャルプランナー(FP)の上級資格を持つばんだい先生が、家計改善や資産形成のポイントをアドバイスします。

退職金・個人年金の受け取りは何がお得?

Q:勤務先から退職金を年金方式にすると総額が多くなると話がありました。住宅ローンの返済が70歳まであるので、一時金で住宅ローンを完済してしまいたい気もします。個人年金保険も5年据え置けば年金額が増えると通知がありました。どちらを選ぶべきでしょうか?

家族構成

Aさん:57歳・会社員 妻:50歳・パート勤務 子ども2人はすでに独立

夫は60歳でいったん定年。収入は半分程度となるが継続雇用により社会保険加入で65歳まで延長可能。

A:退職金を一時金か年金かの判断は、額面が多い方が得とは限りません。またAさんのように継続雇用があるので退職金を一括で受け取る必要がないという方もいます。退職金に限らず、企業年金、確定拠出年金、個人年金なども含めて、受け取り方により退職所得・一時所得・雑所得など所得の種類や課税方式が異なり、退職所得控除や公的年金控除による税額控除の違いがあります。またいつまで働くかにもより収入と合わせて社会保険料への影響も考慮した上で受け取り時期を選択することも重要です。一時金で受け取ると浪費や無理な投資に使ってしまう方もいます。場合によっては一時金と年金を半々に分けるなど状況に応じた判断になります。

Aさんは勤続37年で退職所得控除は1,990万円、一時金であればほぼ非課税で受け取ることができます。また課税対象は退職所得控除後の2分の1、分離課税のため給与など他の所得にかかわらず、社会保険料が掛からないメリットもあります。退職所得控除の枠を活用することが基本になります。

これを年金受け取りとする場合、額面は増え公的年金等控除の対象ですが、企業年金や公的年金の受給がスタートすると雑所得も増え税金・社会保険料の負担が重くなります。70歳までの受取額を比較すると額面では年金受け取りの方が多いものの、手取りでは一時金の方が約165万円多くなります。

個人年金は、利益部分が雑所得となり税金等が掛かりますが、Aさんの60代前半は給与が半分になるため、高い税率が適用されることはありません。厚生年金加入期間は給与のみに社会保険料が掛かり、個人年金には掛かりません。60歳受給開始にすれば当面5年間は社会保険料が増えないメリットがあります。仮に65歳以降に手取りが増えると雑所得が増え、国民健康保険料と新聞で報道の介護保険料の負担に影響し結果として手取り率が低下するリスクがあります。

住宅ローンに関しては、残り年数から既に繰り上げ返済の効果はなくなっています。一方、借金が残っているというメンタル面を考慮すれば、退職金の中から500万円を使って一部返済し65歳完済とすることで、以降は年間支出が減ります。

以上で70歳までの家計を見える化し、プラスマイナスゼロとすることで、老後資金約2,500万円を取り崩すことなく暮らすことができます。年金形式で受け取る場合は、生活口座とは別に日頃使わない口座を作って入金し老後資金として確保します。

 

【アドバイス】

①手取りベースで考えます。

②退職金だけでなく給与や個人年金も合わせた試算が必要です。

③住宅ローンは繰り上げ返済の効果はないので、現金を減らさない範囲で返済を検討します。

 

ばんだいこうじ

年間100件前後の家計・保険・老後設計・年金・資産運用の家計相談を実施。住宅に関しては、船井総研をはじめ全国各地で専門家に指導・講演を行う住宅業界のカリスマ。松江にあるFP住宅相談所では家づくりが楽しくなるセミナーを開催し、年間30棟以上の家づくりを実際にサポート。

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〒690-8668 松江市殿町383 りびえ~る担当「家計アドバイス」係

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