SPECIAL TOPICS
教えて!青山せんせい 子どもの自立に必要な3つの「る」
紙面・WEBで展開してきた子育て応援企画「教えて!青山せんせい」。いろいろな角度から子どもとの関わり方を考えてきましたが、青山先生が伝え続けていることは意外にシンプル。
今回は「子どもが変わればうまくいくはず」という保護者の考え癖を3つの「る」で見直します。子ども自身の“育ち力”を大人がサポートする「親も子もハッピーになる子育て」を目指してみませんか?
「しあわせなおかあさん塾」主宰 青山節美さん(松江市)
親学ファシリテーターとして4000人以上のお母さんたちと接する中で、「親が変われば子どもの未来は変わる」を理念に2018年同塾を開講、講座動員数は現在延べ1万人以上。
登録者数2.31万人(4月現在)を数えるYouTubeチャンネル「未来へつながるしあわせな子育て塾」でも迷える親たちへ具体的なヒントとエールを送り続けている。
●子どもの置かれた現状
不登校・子供の自殺過去最多、という事実…少ないデータで一概に考えることはできないのですが、あまたの原因が重なり、それがより多くなってしまった子どもほど、つらくなっているのではないでしょうか。
子どもたちを見ていて思うのは、彼らが発達成長するときに、身体に必要な経験が不足しているということ。
周囲に手放しで認められて、失敗も経験値として積めてきた子は強いなと思います。
不登校や自死を選んだ子が弱かったかというと、そうではないと私は思います。
逆に「強かった」のではないか。
「自分の気持ちに正直でいることを選ぶ」強さがあったがゆえの、切ない結果と考えれば、納得する人がいるかもしれません。
●「右肩上がり」発想から脱却を
大人の働き方は、コロナ禍を経て大きく変わりました。通勤・出社もしますが、大手IT企業の例のように、全国どこにいても仕事ができる。「無理だよね」と思われていた職種や業務でさえ、変革できちゃったんですよね。
同じように、子どもの遊び方も変わったんですよ。「公園で遊ぶ」は、ゲーム・オンラインで遊ぶ方向へ、コロナ前からすでにシフトしていました。
でも、なぜか「学び方」や「子育ての方法」は変わらない。タブレットを配布しても、大人に操作・技術習得する余裕がなく、活用できずにお飾りになっていることも。
もうすでに、子どもたちはいつでも対応できる状態で、新時代を生きようとしているのに、大人のほうがいつまでもやり方を変えられず、変化を後回しにしているように感じます。
右肩上がりの世界で子育てをしていた感覚を、上の世代が忘れられない。
その方法で右肩下がりの世界を生きようとしたら、苦しいのは当たり前です。
●大人が変われば未来は変わる
今、むしろ大人が変わらなくてはならないのではないでしょうか。
変わるってどうすればいい?…イメージしにくいかと思いますが、具体的には2つあります。
まず1つは、「世界を知る」こと。
2030年、2040年…子どもたちが大人になった未来を知る=具体的にイメージしてみること。
2つ目は「子どもを知る」こと。私たちは現代の子どもを知らなすぎます。
子どもを「できないもの」として育てているのは、大人自身なんだと気が付くこと。
そのうえで、日ごろのかかわりの中で心がけておきたい、3つの「る」があります。
子どもの自立に必要な3つの「る」
★過干渉、過指示、過保護を「やめる」
先日、塾生のお母さんから聞いた話…折り紙や絵を好きに選んで缶バッジを作る体験にお子さんと参加していたとき、近くにいる祖父と孫が気になったそうです。
孫が選んだ色や柄に「柄と柄を合わせたらいけん」などと声をかけ、ああしろこうしろと干渉・指示・命令。
ついに孫がいやになって「もう作らん!」(かわいそうに)。
するとさらに祖父が言うには「そんなこと言ったら恥ずかしいよ!みんなが見て『あの子は恥ずかしい』って思うよ!」。
これを読んで、祖父が正しい!と思った人…【過干渉・過指示・過保護・過命令】です。
即刻、その関わり方を見直してほしい。「違うでしょう」と思う人でも、実際にはこんな場面がありませんか?
これって、大変危ない子育てです。
自分のやりたいことも、自分の感性や発想を出すこともできない、言いなりロボットを育てているのと同じ。
そして「周りの目を気にして生きていけ」「自分の思いを出すことは恥ずかしいこと」という考え方も押し付けている。
このまま大人になって、何も考えずに上の言うことを聞き、指示されたことを指示されたように動くだけでよしとするならばいいですが、上の人たち、こういうセリフも言いません?
「指示されたことだけではなく、考えて行動しろ!」ってね。
“指示どおりにしかできない”人はまだ上出来ですが、それさえできなくなる人もいます。
なぜなら、指示に従ってもダメ出しされ、また叱られ、否定されたら…何をやってもダメだとそもそもやらなくなりますよね。
自分の頭で考えられる、自立した大人になってほしい…そう願うのであれば、自分の価値観と違っても黙って見守り、手を貸すのは子どもから「手助けがほしい」と頼ったときだけに。
★親も子もお互いにワクワクし「共感する」
子どもに向き合いたいけれどどうやっていいのかわからないとか、特に反抗期など今さらどう向き合えば…といったこともあるかもしれません。
簡単な方法があります。それは、相手の好きなものに興味を持つということです。
こういうと、よくこんなことを言われます…「それがゲームとかでもですか?」。そうです。それがゲームであっても、興味を持ってください。
興味を持ったフリではだめです。子どもは小手先のテクニックは絶対に見破り、こう思います…「ばかにされているな」ってね。
子どもが好きなものに、本当の興味を持ってください。それだけで人の心はワクワクします、お互いに。
するとそこに信頼が生まれ、たくさんの会話が生まれます。
それが「向き合う」ということ。少し深い話もしやすくなりませんか?
★子ども自身の育ち力を「信じる」
「どうせできない」と、子どもを信じられない人がいます。
私はたくさんの親に会うのですが、よく感じるのが…親自身が自分を信じておらず、信じるじれったさに我慢ができていないということ。
「すぐに結果がほしい、今すぐ変えてやりたい、今すぐどうにかしたい」…今すぐ“自分の不安を解消したい”から、子どもの育ちを待てないのです。
子どもは育ちます。これは人間の傾向性によるもので、必ず育ちます。
ただしそのスピードはゆっくりしています。ゆっくり育つことが必要なんです。
しかし、親やその上の世代のように、現代の子どもはゆっくり育つなんて許されません。
早く早くと急がされ、靴を履くたった少しの時間さえも認められません。
早さに加えて、一瞬たりとも無駄や失敗がなく、合理的なことも大事。でも最短で人生を駆け抜けるような生き方、本当に「楽」ですか?
本来は、その余裕や余白の部分に「ひと」としての成長の本当に大切な要素が隠されています。
大人は子どもの成長を信じ、愛していることを伝え、必要とされたとき必要なぶん、手を伸ばしてやればいいんです。
【参加募集】生活応援情報紙「りびえ~る」600号発行記念
教えて!青山せんせい
もっと子育てを楽しむ!対談&講演会
日時 6月4日(日) 午後1時~
会場 島根県民会館 3階大会議室
定員 100人(応募者多数の場合抽選)
主催/山陰中央新報社ビジネスプロデュース局
後援/島根県、公文教育研究会 松江事務局
【プログラム】
対談 「子育てって〇〇だ!」
4コマ漫画「いっちゃんと!」作者・塩毛エリカさん × 青山節美さん
講演 大人が変わる「しあわせな子育て」論
青山節美さん
5月28日号で「りびえ~る」は600号を迎えます。
これを記念し「教えて!青山せんせい」の講演会を開催!
対談には「読者のひろば」でおなじみ、ユーモアあふれる子育てマンガ作者・塩毛エリカさんも登場。
プライベートで交流があるお二人に、自身の子育てについてざっくばらんにお話しいただきます。
講演会では「もっと早く聞きたかった」「反抗期の子への向き合い方が変わった」「早く帰って子どもを抱きしめたい」の声が続出する、青山せんせいの子育て論をリアルでお聞きください。
★応募方法★ こちらの応募フォームからご応募ください
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