SPECIAL TOPICS

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もっと話そう! 認知症のコト Vol.2

2040年、65歳以上の3人に1人は認知症か軽度認知障害(MCI)に?

9月21日は、国際アルツハイマー病協会(ADI)が世界保健機関(WHO)と共同で制定した世界アルツハイマーデー

厚生労働省が5月に発表したデータでは、2040年には認知症の人が584万人、MCIの人が612万人と推計

国民の3人に1人程度が認知機能にかかわる症状があることに。

認知症は誰にでも起こるもの…だからこそ、過度に不安になることなく、適切なサポートにいち早くつなげるため、もっと認知症について話をしていきましょう!

まずは知りたい! 認知症の基礎知識

認知症は増加傾向にあるのでしょうか?

男女とも平均寿命が延び、生活習慣・食事内容の変化もあり増加傾向に。

また認知症の前段階といえる軽度認知障害(MCI)が知られるようになり、予防への関心とともに物忘れ外来など受診の窓口も広がって、顕在化しやすくなったことも挙げられます。

 

認知症に気付くきっかけは?

認知症にはさまざまな種類があり、脳内のどこに影響が出るかで症状が違ったり、いくつかの症状を併せ持つ「複合型」もありますが、物忘れなどは比較的共通する症状

特に患者さんの6~7割ともいわれる「アルツハイマー型」では顕著です。

認知症による物忘れは、夕食に「何を食べたか」ではなく、食べたかどうかを思い出せないので、加齢によるものとは異なります。

予定が覚えられなくなったり、調理に時間がかかるようになった、同じ話を繰り返す、事故など車のトラブルなども早期発見のポイントです。

親と離れて暮らす人はどう気を付ける?

電話やメールなどで様子を聞くだけでなく、できれば訪問してみて

家の内外の様子、なべの焦げ付きや薬の飲み残し、服の季節感など、目で見てわかる兆候もあります。

認知症の兆しが見えはじめたら…

軽度であれば薬によるコントロールもききやすいので、家族が「あれ?」と感じたとき先延ばしにしないことが大事

地域活動など、家族以外の社会とのつながりを保ちながら適切なサポートを受け、これまでどおり暮らしている人も多いので、不安になりすぎないで。

日記を書く・曜日を決めて出掛けるなど生活に「予定」をつくる、趣味を見つけ、よく笑うなど心を動かす工夫を。

相談に踏み切る目安は?

「少しでも不安があれば」で十分なので、地域包括支援センター(呼称は自治体によって違うことがあります)への相談を

介護保険を使ったサービスにつながる前に、現状を把握して何を利用するのが適しているかを一緒に検討します。

地域との関係性が途切れないことも重要なので、深刻な状況になる前に来てもらうことで、自治会の活動に参加するなど、さまざまなつながりをつくっておくことができます。

同時に、内科などの身近なかかりつけ医へも相談を。専門医や詳しい検査につなげてくれ、センターと並走支援ができます。

 

本人や家族が否定的な場合、どうしたらいい?

本人にも現状を受け入れるには不安や葛藤があり、家族が指摘するとお互い感情的になりがち。

また患者への思いが強い家族は現実を直視しにくいことも。

相談員がそれぞれの気持ちを受け止めることで、客観的な視点が生まれます

第一段階として本人を交えない相談も可能なので、少しずつ本人が信頼できる関係性をつくっていきましょう

さらに知りたい! 介護サービスの利用

40歳以上の人が被保険者として保険料を負担する介護保険。介護や支援が必要と認定されたとき、費用の一部を負担してサービスを利用できます。

デイサービスなどを利用するには

自宅での介護は技術的・精神的にも負担が大きいもの。

世間体への不安や遠慮から一歩目が遅れがちですが、介護保険サービスを利用するには要介護度を認定するための申請が必要です。

利用開始までおおむね1カ月程度かかるので、深刻な状態になる前に動くことが大切です。

早期に相談をしていれば、この待機の間に患者本人に合わせた施設を見学・体験することも可能です。

 

認定調査で、より正確に現状を伝えるにはどうしたらいい?

患者さんによっては「自分は病気じゃない」との思いやその日のコンディション由来で、調査日に実態より軽度な印象にふるまう人も。

本人を前に「本当は普段は…」といった話はしにくいもの。

日頃の様子や、大きなトラブルがあった場合は日にちや時間・行動内容など、できるだけ詳細にメモしておいて、調査員に伝えていただくと助かります。

調査員にとっても、現状を正確に把握することは大事ですから。

 

相談員から、りびえーる読者へ伝えたいこと

もしかして…と思うものの、「気のせいかも」「年のせいで仕方ない」と、仕事をしながら家族愛や責任感で頑張ってしまう人がこの地域には特に多いように思います。

どうか頑張りすぎないでください。

働く人が多い現代は、家族だけでの介護は難しい

患者・家族が心の余裕を取り戻すためにも、適切な対応やサービスに結びつくことにためらわないでいいんです

そして、認知症は今や身近な病気。

患者さんを温かく見守り、困っていたら声をかけてあげてください

松江市では「見守りネットワーク事業」や「松江市見守りシール給付事業」(※)を展開し、道に迷った人を誰でもサポートできる取り組みを進めています。

こうした動きも今後広がっていくのではないでしょうか。
 

みんなが認知症へ前向きな理解を深められるといいですね!

 

見守りネットワーク事業…認知症の人などの行方不明時に、早期発見を目的として協力者の携帯に行方不明者情報をメール配信する。

    松江市見守りシール給付事業…事前登録で、行方不明リスクの高い人へ服や持ち物に貼付して使用するシールを発行。行方不明時に遭遇した第三者がシールの二次元コードから速やかに警察に連絡できる。

問/松江市社会福祉協議会(℡0852-21-5773) 

当事者の「思い」を形にし意欲をサポート…安来市 オレンジカフェ&のんびり会

患者本人や家族が気軽に話しあえる集いを各市町村や福祉団体などが開催しています。

今回は安来市地域包括支援センターの活動を訪ねました。


当事者・家族、関心を持つ人が誰でも参加できる「オレンジカフェ」と、認知症当事者が主役となる「のんびり会」。

物忘れが気になる人や当事者同志集まりたい人が中心です。

スタッフ含め総勢20人ほどが集まったこの日は、当事者も運営を担う9月開催の啓発イベント「オレンジフェスタ」の担当決めからスタート。

職員の司会で、本人らで話し合って当日の役割を決めていきます。

大笑いが出る場面もあり、こちらまで笑顔に。


「ここでは介護度に関係なく、外出や料理など、自分の希望を自分で実現することを大切にしています」と話す認知症地域支援推進員の皿海弥生さん。

「認知症になると、本人も家族も『できないこと』を数えがち。実際には意欲や、やりぬく力があり、わずかなサポートで実現できることが多いんです

“忘れる”自分を知られたくない…と閉じこもりがちだった当事者が会に参加し、自信を付ける姿が印象的だそう。

「物忘れがあっても、本人も周りも『まいっか』と笑い合える社会を目指したいですね!」

得意の生け花で会場を飾ってくれた当事者のイキイキとした表情が、「忘れたって大丈夫!」を物語っていました。

近日の開催

第2回 オレンジフェスタinやすぎ
9月21日(土)
10:00~14:00
和鋼博物館・安来市立図書館(同市安来町)
映画上映会(要予約)、出張カフェ、介護予防・相談コーナー、クイズラリー、絵本読み聞かせほか
問い合わせ:電話0854-37-1540

 

●認知症家族のつどい
10月21日(偶数月第3月曜日)
10:00~12:00
参加無料・予約不要

●オレンジカフェ
10月3日(毎月第1木曜日)
●のんびり会
11月15日(奇数月第3金曜日)
いずれも10:00~14:00、参加費700円、開催3日前までに電話で申し込み(安来地域包括支援センター℡0854-37-1540)

●印の会場はすべてふれあいプラザ(安来市古川町) 詳しくはこちらから 


★各市町村での認知症カフェはお近くの地域包括支援センターや市町村の介護保険担当課などへおたずねください★

島根県の認知症カフェ一覧はこちらから

 

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