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新茶の季節到来~山陰お茶事情
新茶の季節到来 ~「お茶(たばこ)さこい♪」から始まる山陰お茶事情
夏も近づく八十八夜…立春を1日目として88日目にあたる時期は昔から茶摘みの目安とされています。近年温暖化の影響はあるにせよ、山陰地方はおおむねこよみ通り5月初旬から始まるそう。
私たちの暮らしに根付いている「お茶」の基礎知識と、お茶にまつわるご当地ネタをご紹介。
日本茶の種類
茶の木から採取する茶葉は、栽培方法や摘み取る時期、製造工程で緑茶や番茶、ウーロン茶、紅茶など多彩な「お茶」に変化します。
その年に最も早く出た新芽を一番茶、摘んだあと伸びてきた順に二番茶、三番茶…と呼び、若いものほど上質でうま味が強いのが特徴です。ここでは山陰でよく飲まれている日本茶を紹介します。
抹茶
新芽の出始めに覆いをして育て、摘んで蒸した葉を揉(も)まずに乾燥させ、茶臼でひいたもの。覆いをすることで渋みの元・カテキンの生成が抑えられ、甘味・うま味が強くなる。
抽出温度/80~90℃。湯温が低すぎると泡だちにくくなる。
山陰ならではの「お茶(たばこ)」時間
「たばこ」が大事!
家の前を通りがかった近所の人や、ちょっとした用事で訪れた人を「まあ上がってお茶でも」と招き入れてしまう、それがこの地方独特の文化です。「たばこ」とは「休憩、一休み」の意味。ポットや急須に茶葉がセットのように常に準備してあり、いつでもお茶を入れられるようになっています。
お茶口に甘いお菓子だけでなく、煮しめや漬物が出てくるのもこの地域ならでは。
「湯のみは小さく、何杯も」がお約束
ほんの2口ほどで飲み切ってしまえる小さな湯のみに、「もうごちそうさま」と断ってもお代わりが注がれるのを経験した人は多いでしょう。煎茶道で使うような小さな茶器を普段から使うのは、全国を見てもあまり例がないように思います。
回数を注ぐことでお茶の香りや味わいの変化を楽しみ、「もう一杯いかが」と会話のきっかけを作る。山陰ならではの粋なコミュニケーション術ですね。
抹茶も日常的にたしなむ?!
人口の割にお茶屋さんが多いのが山陰。特に松江地区は、茶人としても知られた松平不昧公の影響もあるのか、日常的に抹茶を飲む習慣があります。これも全国的には珍しく、お茶業界では「文化度が高い」と評価されているそうです。各家庭で作法にとらわれすぎずに親しんでいるのも、またいいところです。
取材協力
お茶の三幸園 代表取締役・日本茶インストラクター 大島正也さん
住所:松江市学園南2-16-5
電話:0852-25-0885
ちょっとした休憩や、人と人とのやりとりのきっかけとして「お茶しよう」という言葉を使う私たち。日常の中に「お茶」が大事にされ続けるように…そんな気持ちでお茶のある暮らしのお手伝いをしています。