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ばんだい先生家計アドバイス case.80<同居する母の認知機能低下が心配>

☆ばんだい先生 家計アドバイス☆
あなたのお宅の家計はいかがですか?
ファイナンシャルプランナー(FP)の上級資格を持つばんだい先生が、家計改善や資産形成のポイントをアドバイスします。
Q :
築50年の実家で86歳の母と2人暮らしです。父親は昨年亡くなりました。母は最近、元気がなくぼんやりしています。年齢のせいか認知機能が低下した兆しもあり心配です。姉は義理の両親の介護で忙しく、母には介護施設に入所してほしいと思っています。
Aさんの状況 / 出雲市在住
Aさん(50歳女性・独身・会社員)、母親(86歳・いくつかの不動産を所有)、姉(60歳・既婚)。
A :
母親は生活費として月6万円をAさんに渡しています。財産について母親に細かく聞くのは難しく、Aさんが事前に把握しているのもおおよその見込みです。
今回、再確認したところ父親の死亡保険金や母親の預貯金が出てきました。山林や雑種地は、固定資産税の納税通知から登記簿を確認できましたが、評価額は100万円程度で売却は困難です。これは亡くなった父親名義でしたのでAさん名義に変更します。
他に所有するマンションの査定価格は300万円程度。これについては取りあえず不動産会社に売却を依頼します。自宅については、Aさん自身の将来と小規模宅地等の特例を考えて、弊社の設計で小規模な平屋に建て替えます。
これらによって母親とAさんの老後の家計の安全性は確保できます。
母親の判断能力が維持されている間は財産管理委任契約、判断能力がなくなった際には任意後見契約へ移行すること、Aさんが受任者・後見人になることで親族3人の意見が一致しました。
財産管理委任契約とは、財産の管理や療養看護の事務手続きを委任する契約で、その後の任意後見契約の開始は本人の判断能力低下後に限られます。
今回のように財産管理委任契約の締結時に任意後見契約と併用する移行型が一般的で、法務省の資料では全体の約4分の3を占めています。
姉には母親の金銭の収支報告を行うこと、また母親の死後には残った預貯金は2分の1ずつ相続することも決めました。
母親の判断能力が低下した場合、不動産の契約や預貯金の使用も難しくなる可能性があり、任意後見制度を利用し母親が専任した任意後見人が本人の意思に沿って財産の管理を行うことになります。判断能力を失ってしまってからでは、法定後見制度の適用になり、本人のためであっても預貯金が利用しにくくなる可能性があり、本人の希望に沿った生活を送らせてあげたいというAさんの希望に沿って、任意後見制度を利用した方が良いと判断しました。
司法書士の協力で公正証書を作成し両契約を締結しました。以上でAさんが母親の財産管理や売却、介護施設への入所手続きを行うことができます。介護施設の費用は、母親の年金や預貯金から取り崩しします。
母親の所有不動産に収益物件があった場合など民事信託の利用も候補になります。
不動産の名義がAさんになり、収益を母親が受け取るようにすれば贈与税はかかりません。また死後はそのままAさんが不動産を承継することができます。
ただ民事信託は、柔軟性は高いものの仕組みが複雑でまた身上監護を行えないことから遺言書や任意後見契約書も必要になります。
その他の制度としては、日常生活自立支援事業もありますが、あくまでも日常生活費の管理(日常的金銭管理)に限られ、また判断能力が低下していない人でなければ利用できません。
【アドバイス】
(1). ご家族それぞれの気持ちの確認が最初。
(2). 次に将来起こりうる潜在的リスクも検討。
(3). 財産は本人に聞くのが難しく全体の把握が重要。
ばんだいこうじ
年間100件前後の家計・保険・老後設計・年金・資産運用の家計相談を実施。住宅に関しては、船井総研をはじめ全国各地で専門家に指導・講演を行う住宅業界のカリスマ。松江にあるFP住宅相談所では松江にあるFP住宅相談所では家づくりが楽しくなるセミナーを開催し、累計300棟以上の家づくりを実際にサポート。
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