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はちみつラボ 8000年以上続くミツバチとの歴史

 「エジプトのピラミッドから3300年前の腐っていないハチミツが発見された」という話を聞いたことはありませんか。今回はミツバチと人との歴史をお話ししたいと思います。

 ミツバチとの歴史は古いがゆえに、「養蜂」がいつから始まったのか、正確にはいまだに分かっていません。それでも人類の痕跡をたどると、紀元前6000年ごろには始まっているということが分かります。それは、紀元前6000年ごろにスペインで描かれたとされる壁画に、ミツバチの巣に手を入れて、ハチミツを採集している様子などが描かれているそうです。その他にも、古代エジプト文明に描かれたとされる、養蜂の様子を描いた壁画が発見されています。8000年も前からハチミツを採っている様子を壁画にして残すほど、貴重な栄養源、保存食であったと考えられますね。

 実際にハチミツは世界中で珍重されていました。古代エジプトでは特権階級のみが食べることを許され、ハチミツには税金がかけられていたそうです。また、イギリスのある地方では農民が年貢の代わりにはちみつ酒を納めていたとのこと。砂糖がない時代、ハチミツは人々の甘味への憧れの象徴だったのでしょう。

 では、日本の養蜂の始まりはいつごろだったのでしょうか。その歴史は世界に比べると浅く、長い養蜂の歴史を経て、ヨーロッパ全土へ広まったのちに、現在の韓国から日本へ伝えられたと600年代から編さんが始まった日本書紀に記載があります。その後、江戸時代にはニホンミツバチを使った養蜂を盛んに行うようになったそうです。

 イギリスでは「ハチミツの歴史は人類の歴史」ということわざがあるほどミツバチとの付き合いは長く、とても深いもの。これからも末永くミツバチたちと共存していきたいですね。

 

 

◎講師

いち花(か)

(はちみつマイスター・山陰中央新報文化センター講師)

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