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タウントピックス♪ 鳥取県産竹炭でコーヒー焙煎<珈琲舎en>(米子市)
竹で覆われた山をあちらこちらで目にするたび、恐ろしさを感じる。はびこる竹による森林環境の悪化が問題になっている。鳥取県大山町の竹を伐採し竹炭にし、その竹炭をコーヒー豆の焙煎(ばいせん)に活用している米子市の珈琲舎enの代表取締役、重岡勝巳さんを訪ねた。
大山町の松本建設は8年前から、手入れされない竹林が拡大すると山が壊れてしまうと危機感を募らせ、竹林整備事業を開始。竹を伐採し、専用の炉で竹炭を製造してきた。現在では年間約30トンを生産し、森林環境改善の一助となっている。竹は、大山町産100%だが、なくなった場合は県内の他地域の竹も使用する。
古くから行われている直火式の焙煎を採用し、こだわりの焙煎コーヒーを提供している重岡さんはこの県産竹炭に注目。「竹炭でコーヒー豆を焙煎して付加価値や特長を出せないか」と考え同社の竹炭を使ったコーヒー焙煎のチャレンジをスタートさせた。
初めは焦げたり、逆に豆が中まで焼けなかったり思うようにはいかなかったが、試行錯誤を重ねて「バンブーチャコールコーヒー(竹炭珈琲)」が完成した。
竹炭はやわらかな火で、遠赤外線効果により豆の芯までふっくらと焼き上がるという。
「コーヒー豆本来の味を引き出し、豆の優れた苦み、竹炭ならではの香りを引き立てる」と重岡さんは自慢のコーヒーに満足そうだ。
竹炭パウダーは食用の炭としても活用できるため、竹炭パウダー入りのコーヒーも考案。「デトックス効果が期待できる」と顧客から好評を得ている。
ほかにも、竹炭は湿気取りに使ったり水に入れたり炊飯時にコメと一緒に炊いたり、さまざまに活用でき、乾燥させれば再利用もできるとあって活躍の場を広げている。県の環境を守りながら新たな県産商品を開発していくという一石二鳥の地域貢献活動が続く。