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「大人が変わる『しあわせな子育て』論」青山節美さん講演会~りびえーる600号記念イベント紹介<下>

りびえーる出雲版600号記念「教えて!青山せんせい~もっと子育てを楽しむ~対談&講演会」を6月上旬、松江市内で開催しました。

全国でお母さん向け講座を開く青山節美さんが登壇し、子育て漫画「いっちゃんと!」の作者・塩毛エリカさんとの対談や講演会を通して、“新時代”の子育てに必要なことについてお話しいただきました。

2回に分けて、対談と講演会の内容をご紹介します。

 

青山節美さん(松江市)

「しあわせなおかあさん塾」主宰。親学ファシリテーターとして4千人以上のお母さんたちと接する中で、「親が変われば子どもの未来は変わる」を理念に2018年同塾を開講。迷える親たちへ具体的なヒントとエールを送り続けている。

子育ての3つの失敗

①人のせいにする

「子どもがこうだから大変」「旦那が…」「学校の先生が…」と誰かのせいにし続けていると、物事は解決しません

子育ては、特にワンオペになるととても大変。夫に対して「何もしてくれない」と思うでしょう。

私も過去、夫に不満を募らせていた時、ちゃんと伝えていなかったことに気付き、自分が人のせいにし続けていたとハッとした経験があります。

自ら解決することを諦めていました。何かが悪いと思っているうちは、苦しいまま。子どもを産み、「さぁどうぞ」と始まる子育て。

つらい時は「子育ての仕方、習ってないよね」と考えてほしいです。

人のせいにするなと言いますが、もちろん自分のせいでもない。ただ、知らないだけ。

実は、答えは子どもたちの育ちの中にあって、それを見つけることが大事です。

②知ろうとしない

子どもの中で一体何が起きているのか、知ろうとしてください

一定の年齢幅でトラブルは起きます。0~3歳が「イヤイヤ期」といわれる「絶賛やるやる期」。その後6歳頃までの「メンヘラ期」は、特に4歳が大変。人間の脳になる過程で思考が複雑になるからこそ、癇癪(かんしゃく)もあるし嘘もつく。5歳くらいで親から離れられなくなるのは、心が育ち「さみしい」「心配」という気持ちが分かるようになるから。「育っているんだな」と見守ってください。これら「面倒くさいパッケージ」を通るから、思考力・判断力・人間力など生きる上で必要な力が養われます。一見トラブルに見えても全て成長に必要なものです。

 

今の祖父母世代はバブル期に働き盛りで、経済が成長し、人口も増える右肩上がりの「良い時代」を知っています。「勉強をしたら良い学校に行ける」という錯覚もあり、「勉強しなさい」と言うでしょう。もちろん、勉強はできたら良い。ただ、“右肩上がりの時代”と同じやり方ではうまくいきません

 

教育現場では、英単語を覚えるのにカードを作って何度も書いたり、字の止め・はね・はらいの指導が熱心にされていたりします。今の時代、本当に必要でしょうか。字を覚えることと、綺麗に書くことの目的が一緒くたになっていないでしょうか。

 

子どもに何かできるようになってほしいとき、「何が目的か」を考えることが大切右肩下がりの経済でどう生きたらいいかを知らないのに、過去の感覚のままだからややこしくなります。高校入試がゴールなのか、不登校の子が学校に戻れば正解なのか。先の人生を踏まえて考えてほしいです。

③すぐに答えを求める

子どもが力を発揮するのには必要な土台があります。一番下は「安心安全の生活・自尊感情」。その上に、自己選択する力「非認知能力」がきて、一番上が学力にあたる「認知能力」になります愛で満たされ、自分でできる素地が整えば、子どもたちは自ら勉強もしますが、それには時間がかかります。親は土台づくりの順番を間違えないように。

10歳くらいまでは、心が柔軟で経験も不足しているので、困りごとが起きても親の行動で変わりやすいです。一方10歳を過ぎたら、途端に手がかかる。生物学的に10歳前後で大人と脳の大きさが同じになります。ホルモンバランスも体つきも変わり、大人になる準備をします。それまで上がり続けていた自己肯定感が下がり、人の目も気になり始める。友達という親以外の第三者の存在が強くなるのでトラブルの解決が大変になります。

トラブルがあると「ヤバい!」と思うでしょうが、そんな時は「8秒ハグ」。握手でもハイタッチでもいい。触れることで幸せホルモン・オキシトシンが分泌され、子どもは幸福感に包まれます

 

教えて!青山せんせい

子どもを信じるってどういうこと?

よく子育て系の相談や育児本などの結末は、「子どもを信じる」で何となく終わらされていると思います。

そして、多くの人は「そうだよね」とか思いながらも、「じゃあどうするの」と感じるのではないでしょうか。

「子どもを信じる」ってすごく曖昧(あいまい)でぼんやりしていて、何となくごまかされています。

私もこの言葉を使いながら、「きっと分かってないよな」なんて思っているのは内緒。

 

「子どもを信じる」=「あなた自身を信じる」です。

かみ砕くと、「あなたの不安はあなた自身の問題で、あなたはあなたと子どものありのままをいったん認めてみましょうか」というもの。

 

「信じるなんてできない!」「信じるってどうしたらいいの?」と思う方は、確固たる自信がないので、不確かなものを理解したり受け止めたりすることが苦手なんです。

人はすっきりはっきりしたいので、実はみんな苦手。

 

「子どもを信じる」は、ありのままを受け入れるという意味ですが、こういう気持ちが湧き起こりません?

「とはいっても、○○ができなかったらどうするの?」「私が言わなくて誰が言うの」

 

これらは、心配という名の「親の過度の期待」です。

親が過度な期待を抱き、子どもに投げかける言葉には「子どもを信じていない」言葉が多くあります。

「できていない」「もっと頑張れ」「親の期待に応えてくれ」「もっと喜ばせろ」という大前提が、子どもを信じられない気持ちに含まれています。

期待が無自覚にあるから、無意識に非言語で伝えるのです。

 

子どもを信じられないのは自分が過剰に期待しているから。

そしてそれは自分自身の不安の表れだということに気が付くと、子どもを信じることができるのではないでしょうか。

「子どもを信じる」とは、我慢ではなく理解すること。だから難しいかもしれません。

子どもに対してイラっとしたり、不安や心配になったりしたら、いったんこうしてください

 

 ・生きているだけでそれでいいと思う

 ・生まれてきたあの時の子どもを思いだす

 ・積み上がり崩れ落ちそうになっている親の期待に気が付いて減らす

 ・焦る気持ちを自覚する

 

子どもはまだまだ成長の通過点にいます。ずっとこのままではない。

一瞬を切り取ると不安になるのは、過去の延長線上の未来で子どもを見ているだけだから。

あなたがあの頃のままではなかったように必ず子どもも育つ。だから、今を認めると行くべき方法が見つかります。

 

 

 

青山せんせい×塩毛エリカさん 対談の内容はこちらから

 

対談&講演会の動画はりびえーるYouTubeで全編ご覧いただけます!

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