読みもの

読みもの

ばんだい先生家計アドバイス<早期退職で家計が不安>

ばんだい先生家計アドバイス~ここがポイント~

 ☆ばんだい先生 家計アドバイス☆ 

あなたのお宅の家計はいかがですか? 
ファイナンシャルプランナー(FP)の上級資格を持つばんだい先生が、家計改善や資産形成のポイントをアドバイスします。

 Q :早期退職の募集が始まり、退職金加算もあり迷っています。

教育費や住宅ローンもあり家族は退職に反対しています。残る場合は、年収がダウンし60歳以降になると転職も難しくなり迷っています。

Aさんの家族構成

Aさん:55歳会社員年収750万円技術職、妻49歳パート年収100万円、長女大学生、長男高校生

基本生活費297万円

 A :Aさんは、4人家族で大学生・高校生の子と住宅ローンを抱え、現状それほど余裕はありません。この年代は子どもの教育費がピークを迎え、そこに退職となると家族の不安も無理はないと思います。退職金加算などは重要な要素ですが、人生が収入の変化に対応できるか具体的に予測する必要があります。

転職しない場合とする場合の可処分所得を試算します。会社に残る場合、給与規定から収入は増えず、さらに60歳からは大幅ダウン。転職する場合、退職一時金が1000万円加算され、職種から60歳以降は逆に収入が多い可能性もあります。その結果、60歳までは在職と比べ転職後の方が給与収入は150万円ダウンしますが、額面金額が下がれば税や社会保険料負担も軽減されますので、可処分所得では97万円減にとどまります。また60歳以降の可処分所得は転職後の方が多くなる可能性があり、リタイヤする65歳までの合計でみると、可処分所得は計約120万円のダウンにとどまります。

収入が減ると厚生年金の受給額に影響が出ます。「ねんきんネット」で試算すると、転職まで半年空いたとしても年間2万円弱、65歳から20年で35万円減程度にとどまります。以上は退職一時金を加算しない場合ですが、当然、加算すれば転職した場合の方が収入は多くなります。Aさんには住宅ローンがあり、残債1200万円強で68歳まで返済が続きます。退職一時金を使えば一括返済でき利息負担を軽減できます。

転職する場合は、再就職までを想定し手元資金を厚くしておく必要があります。900万円の貯蓄があり、退職一時金を繰り上げ返済に回して利息が170万円減、預金800万円以上が残ります。まとまったお金は運用を考えがちですが、繰り上げ返済ならリスクなく経済効果が得られます。65歳からは55万円の企業年金(10年確定)も受け取れます。企業年金法により年金資産は分別管理され、安全性が確保されています。これを一時金で受け取ると税負担が増えますので税金を含めた試算で年金形式とします。

一時的に、厚生年金は国民年金への変更手続きが必要です。パート勤務の妻も第3号被保険者から1号被保険者となります。Aさんは会社都合退職で雇用保険を受給できますが、この場合、健康保険については国民健康保険であれば30/100とみなす軽減措置の適用があり、ハローワークで交付された書類を国保の窓口に提出します。健康保険の任意継続は全額自己負担となるため国保との比較が必要です。

以上を踏まえ、転職した場合としなかった場合の将来家計簿を作成すると、退職金加算・住宅ローン早期完済・60歳からの収入予測により転職しない場合よりも好転します。同様に90歳時点に金融資産残高にも差が出ます。

 【アドバイス】 

(1)収入の予測は可処分所得で正確に。

(2)再就職先の条件、年収や60歳以降の待遇もチェック。

(3)公的年金の影響も試算。

(4)転職後は低めの収入で試算します。

ばんだいこうじ

年間100件前後の家計・保険・老後設計・年金・資産運用の家計相談を実施。
住宅に関しては、船井総研をはじめ全国各地で専門家に指導・講演を行う住宅業界のカリスマ。

松江にあるFP住宅相談所では家づくりが楽しくなるセミナーを開催し、累計300棟以上の家づくりを実際にサポート。

 相談者募集 

ばんだい先生に家計相談したい読者を募集しています。紙面では仮名とさせて頂きます。質問内容と住所・氏名・電話番号を書いて下記へ。WEB(こちらから)またはメール(myhome@itn21.net)でも受け付け中。また希望者には面談にて詳細をお答えします。

〒690-8668 松江市殿町383 りびえ~る担当「家計アドバイス」係

一覧へ戻る