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コラム◆◇◆Antiqueに心ときめいて VOL.2
VIVIENNE
松江市横浜町にある紅茶とアンティークの店「GALERIE VIVIENNE」店主。
プロトコール・マナーの資格を持つ。インテリアコーディネーターでもあり、アンティーク家具を使ったインテリアコーディネートの相談にも応じる。
クロテッドクリームやジャムをたっぷりつけて Cream tea
Cream tea(クリームティー)? 紅茶の中にクリームがのっている? そう思われる方が多いかもしれません。クリームティーとは、スコットランド発祥のスコーンに、イングランド発祥のクロテッドクリームとジャム(VIVIENNEでは自家製のコンフィチュール)をつけて紅茶やコーヒーなどといただくスタイルです。
スコットランド発祥のスコーンは、バノックというお菓子が起源。名前の由来はスコットランド城にあったThe Stone of Scone「運命の石」に由来するといわれます。神聖なものなので敬意をはらってナイフで切らず、手で食べるのがマナー。
クロテッドクリームの起源は、サウス・ウェスト・イングランド。デヴォン州(デボン流)、コンウォール州(コーニッシュ流)が発祥。11世紀にデヴォン州のタビストック・アビー(修道院)にて、パンがクリームとジャムとともに食されたのが始まりだといわれています。 実際このふたつの州のどちらが先に作っていたかは不明のようです。
全乳を蒸気や水浴で間接的に加熱し、浅い鍋に入れてゆっくりと冷やした濃厚なクリームはスコーンによく合います。クロテッドクリームのないスコーンはスコーンではない!とまで思わせるおいしさです。初めてクリームティーを食べたのが、遠い昔、神戸栄町ビルディングの中にあったLai café。お茶をするならここと決めていたくらい大好きなカフェ。そして、当時三越にできたFortnum&Mason。王室御用達「ロイヤルワラント」を持つ高級店です。
それでもやっぱり本場の味やスタイルを知りたくなって、ロンドンやコッツウォルズなど地方のTearoomへ。念願のイギリスの田舎で食べるクリームティーは、クロテッドクリームが山盛り! これは一体何人分?というくらい出てきます。その日は一日に4軒ほど回ったので、もう最後のお店ではひと口が限界。
スコーンもお店それぞれ。パンのような甘さのない大きなスコーンもあります。 Avignonから始まったスコーンのレシピはわたし流。それを生み出すことにイギリスでの経験はとても大きなものになりました。
さて、ここで問題。先にクロテッドクリームをつけるか、ジャムをつけるか? デボン流、コーニッシュ流と、スコーンにつけるクロテッドクリームとジャム論争があるわけです。わたしは温かいスコーンでクロテッドクリームが溶けてしまうので、先にジャム派(コーニッシュ流)。映画「ダウントン・アビー」ではクロテッドクリームが先だったような? 悩ましいです。ミルクが先か?紅茶が先か?もそうですが、イギリスの人々のクリームティー愛に敬服します。
というわけで、初めてクリームティーを食べたときからの大ファン。材料は、試行錯誤し国産で手に入る最良の材料でスコーンを作っています。いつか松江でもクリームティー論争が起こるくらいたくさんの人に愛されるものを作っていけたらと思います。
次回は、アンティークとブロカントについてお話ししたいと思います。