読みもの
【松江市】創る<陶芸家・三島耕二さん>
ざらざら ごつごつ そこはかとなく感じる「らしさ」
ざらっとした質感や心になじむ色味、シンプルな柄やフォルム。理屈ではなく、なぜかひかれる。そんな器に出合った。
主に普段使いの器を制作する陶芸家・三島耕二さん(64)のアフリカシリーズ。そこはかとなく三島さんならではのテイストが漂う。
三島さんは美術を専攻した大学時代にも土を触ることに関心があり、土器やアフリカの面などに感銘を受ける。
卒業後、美術講師をしていたが、土を使って心を揺さぶられるものを作ってみたいと、陶芸の道へ。今から25年前のことだ。
窯と土と釉薬とで、思い通りになったりそうならなかったり。“ガッカリ”の中にもキラリと光るものがあり、「いつもワクワクする」。
料理をのせたときに完結するよう、料理を引き立てる器作りを心がける三島さん。
土のざらざらに触れ「自然っていいなーと思ってもらえるといいな」と話す。
工房があるのは、出雲国風土記の神話に登場する意宇の杜(おうのもり)のすぐそばで、築100年超の古民家。
以前、奈良時代のこの地のジオラマを見る機会があり、こんなところで作陶できるといいなと思っていたら、なんと、その半年後にこの家との出合いが待っていた。古代からのつながりを実感しながら暮らせる幸せに「ありがたいと思う」としみじみ。
当初手探りだったアフリカシリーズも試行錯誤を重ね、作りたかったものに、より近づいてきたが、今後「焼きの質感や色を突き詰め、高めていきたい。もっとざらざら、ごつごつを進めていきたい」と意欲的。風にそよぐ草木にも癒やされる、すがすがしい工房で生まれる器に、使い手のワクワクも止まらない。
プロフィール
みしま こうじ 1959年生まれ。
島根大学で美術を専攻。学生時代より民族学博物館などで各国の風土から生まれた生活用具や面などにひかれる。絵画製作をしながら高校などで美術講師を務めた後、陶芸を志し浜田工業技術指導所で学ぶ。2011年いまみや工房を開く。
10/7~9アーツクラフツSTYLE展(ろーじIZUMO)、10/25~11/1島根窯元展(イオン松江ショッピングセンター)、11/23~27いまみや工房でうつわ展を開催。同工房では陶芸体験も可。器の取り扱いは、島根県物産観光館、いろは舎、そば田中屋分店、LOCAL-IZM(ローカリズム)、などで。
問い合わせは、いまみや工房(℡080-3052-7865)へ。