読みもの

読みもの

創る【松江市】〈シャドーボックスアーティスト・泉 和枝さん〉

繊細・緻密な“紙の彫刻”

さまざまなテーマの絵が描かれている紙をカットし、何枚も重ねて作品に仕上げ、紙の彫刻と称されるシャドーボックス。

一枚の紙も、重ねることで花は花らしく、人は人らしくイキイキとした姿に。「平面の絵をどうやって立体に表現するか考えるのが、大変だけれど楽しい作業

と話すのは、シャドーボックスアーティストでアトリエ・ラ・プラージュ主宰の泉和枝さん(62)。

シャドーボックスとの出合いは1988年。夫の転勤に伴いアメリカヘ。当時、現地で人気があったクラフトで、泉さんも現ニューヨークシャドー協会主宰の水谷千鶴さんに師事し、学び始めたところたちまち魅了された。帰国後も制作を続け講師資格を取得。作品制作の傍ら指導も行う。

泉さんは題材の絵をよく観察し、リアリティーを追求。花びらや葉っぱ一枚一枚、細部にこだわり丁寧にカットし、丸みをつけたりしわをつけたり。リアリティーと立体感・遠近感を大切に仕上げた作品は、正面からはもちろん横から見ても美しい。ドレスの細かなレースなど、その繊細さに圧倒される。

絵の輪郭線に忠実にカットすることがきれいに仕上げるポイントで、切り口の白色が目立たないように絵と同じ色を塗ることも大事な作業。「切っている時は集中して、何もかも忘れて無になれる」と笑う。

 

ごくごく小さなパーツも省略しないで頑張ると「こだわってやってよかった」と満足感に包まれる。

作品展では鑑賞者から「すごい。本物みたい」の声が聞かれ、その声が「何よりうれしく、励みになる」と泉さん。

今後、「水墨画や水彩画など、いろいろなジャンルの作家さんとのコラボにより、シャドーボックスうの新しい世界に挑戦したい」と頬を輝かせる。

 

プロフィール

いずみ・かずえ 1961年生まれ。

88年ニューヨークでシャドーボックス技法を学び、帰国後ニューヨークシャドー協会認定講師資格を取得。92年、アトリエ・ラ・プラージュを開設。県内外で作品展を開催する。2013年手工芸作品展工芸の部で金賞受賞。24年8月には米子市美術館で生徒作品も並ぶ作品展を開催。自宅や山陰中央新報社文化センター松江教室など、出雲・松江・米子・境港に教室をもつ。

問い合わせは
●TEL:090-5373-1285へ。
●インスタグラム「atelier.la.plage」で検索。

一覧へ戻る