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コラム◆◇◆神の住む島・屋久島に暮らして VOL.3

屋久杉

2024年1回目のコラム、今年もたくさん屋久島の魅力をお伝えしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、屋久島を知る上で重要なキーワードのひとつが「屋久杉」。屋久杉とは主に標高500mあたりから山頂にかけて自生する樹齢千年以上の杉のことを指します。樹齢何百年の杉でも千年未満であれば“小杉”と呼ばれるのには、スケールの大きさを感じますね。

そんな特別な屋久杉の中でもさらに特別なのが、推定樹齢2170年から7200年ともいわれる「縄文杉」。屋久島を訪れるなら一度は会ってみたい、まさに森の王のような屋久杉です。ただ、この縄文杉に会うためには往復およそ10時間、約22キロメートルの行程を歩き抜かなければならず、私も2度会いに行きましたが、決して簡単な道程とはいえません。ガイドブックなどにもそのように書いてあるので、屋久島に行ってみたいけれど体力に自信がなくて…せっかく行っても堪能できないのではないかというお声もたくさん聞きます。

 

 

実は屋久島には経験や年齢を問わず、樹齢数千年の巨木たちに会いに行くことができる『ヤクスギランド』という場所があるのです。なんだかかわいらしい名前ではありますが、標高1000メートルが出発地点となるヤクスギランド。一歩足を踏み入れればそこには、生命の循環を体感できる悠久の森が広がっています。

ヤクスギランド入り口までは車で行くことができ、木道が整備されている30分、50分コースはスニーカーでも歩くことができます。80分以上のコースは険しい登山道もあるので登山用の装備が必要となります。

 

 

私のおすすめは、樹齢1800年といわれるゴツゴツとしたコブの一つが仏様の顔のように見えることから名付けられた「仏陀杉」に会いにいく50分コース。倒木から育つ杉の芽や、みずみずしい苔から落ちる雫(しずく)のミクロな世界も満喫しながら、ゆったりと屋久島の森をたのしんでいただけると思います。

そして、素晴らしい森の散策を終えたあとはぜひ「紀元杉」も訪れてみてください。紀元杉はヤクスギランドから車で15分、標高1200メートルの場所にある屋久島で唯一車窓から見ることのできる屋久杉です。推定樹齢3000年といわれ、十数種類の植物が着生し大きく成長している姿に壮大な時の流れを感じずにはいられません。深閑とした森に佇む威厳に満ちた紀元杉も必見です。

屋久島は縄文杉だけではありません。美しい景色に心が洗われるような旅がきっと待っています。

 

三島佳奈

松江市浜乃木のライフスタイルショッブ「志庵」オーナー。「心と体に佳いものを」をコンセプトに、2年間暮らした屋久島の食品や工芸品などのほか、日々の暮らしに寄り添う洋服と雑貨を扱う。

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