読みもの

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創る【安来市】〈木石仏石像彫刻家・坪内 正史さん〉

石ならではの特性を生かし 楽しく制作

地元の来待(きまち)石や福光(ふくみつ)石、御影(みかげ)石などの原石から、主に仏像やこま犬、モニュメントなどを彫り出す石仏石像彫刻家の坪内正史さん(66)。優しい表情の石仏や愛らしいわらべ地蔵、ユーモラスなたぬきのオブジェなど、作風は幅広い。

坪内さんは、福光石の産地・大田市温泉津町の生まれ。家業はその福光石で墓石などを作る石材店。石でものを作ることは幼いころから身近で、小学6年のころ、福光石でカエルなどを彫っていたという。

実は、石見銀山の五百羅漢を彫った坪内平七は坪内さんの先祖に当たり、自分も彫刻をやりたいと23歳で安来在住の彫刻家・清水洋一さんに弟子入り。さまざまな彫刻の技術を習得し、3年半の修業をへて安来で「おもや彫刻」として独立した。

独立当初は、平七が偉大な存在で距離を置き、意識したくないと福光石を避けていたが、年を重ねるにつれて福光石も意識しだしてきたという。

 

 

 

「地元の石を使って作るのが地域の文化になる。石をどう生かして、貢献していくか」と、来待石、福光石の“これから”を思いやる。

石だからいいというものを作らないと、石の良さが伝わらない。例えば来待石は、柔らかで、濡れると色が変わる、苔がつきやすいなど、欠点とされるところをどうプラスにするかが表現の力。その特性を前面に出し、人の心に響くものを作り、「いいね」と言ってくれる人を増やすため、試行錯誤、工夫を続ける。

自ら想定外のことを起こし失敗させ、「どうするか」を考えて自分の枠を超えるという。先人たちも失敗して、どうするかを考えてきたから伝統文化として続いている。「伝統は守るだけでなく、新しくつくることも伝統」と坪内さん。 

 

坪内平七が作ったこま犬が雲南市の八重山神社に現存し、その複製を手掛けることにした。

平七の制作過程を追体験することで、平七の人生が見えてくる。同じ作り手であり、子孫でもある坪内さんが複製することで、より深く感じられ、多くのことが解き明かされるのではないかと楽しみにしている。

「気力を持続させるため刺激を自分から求めていくことが大切。平七作のこま犬の複製も無謀でありながら冒険」と話し、自分にしかできないチャレンジを続ける。

 

 

プロフィール

つぼうち・まさし 1957年大田市生まれ。

23歳で安来の彫刻家・清水洋一さんに弟子入りし、3年半の修業をへて、安来で独立。仏像・こま犬・モニュメント・人物像・動物彫刻・オブジェなどを制作。地元島根県を中心に活動する。その他に地域のイベント活動として石彫体験指導なども行う。2023年12月からは一輪挿しや小さなお地蔵さま(取扱店・出雲かんべの里内いろは舎)の制作も。

◎HP「坪内正史」で検索。

 

 

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