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タウントピックス♪ 松本伴四郎 水彩画 切り絵作品展<ファッションハウス ミナリ>松江市

野の草花や神話の世界を多彩に

昨年1月に亡くなられた元美術教諭・松本伴四郎(ばんしろう、本名・ともしろう)さんの作品展「松本伴四郎 水彩画 切り絵作品展」が、松江市末次本町の「ファッションハウス・ミナリ」で開催されている。

 

松本さんは、1936年松江市生まれ、京都教育大学卒業後、中学校に美術教諭として勤務した。出雲国風土記をもとに、神話の世界を油絵で描くうちに野草に魅せられ、「切り重ね絵」という独自の表現で作品を制作した。「島根の子ども文学風土記」などの挿絵を手掛けたり、「山陰 野の花たち」などの切り絵集も出版した。

松本さんの長男・都志郎さんと同店代表取締役の三成浩靖さんが知り合いだったことから、松本さんの「作品をしまったままにしないで、たくさんの人に見てもらおう。人の目にふれてこそ、喜ばれるのでは」と、今回の作品展を企画、現在35点を展示している。「ユニークな先生だった」など、当時の思い出を話す教え子らも訪れるそうだ。

 

展示されているのは、水彩、切り重ね絵、モノクロ作品など、実に多彩。

もともと、山陰の草花が好きで、写真に収めていた松本さん。著書「山陰の野の花たち2 花童(はなわらべ)」のなかで、「野の草に心をよせると、観察するほどに情が移ってきます」(※)と記し、自生地の様子を主題の花と一緒に表すため「あらかじめ、台紙にはペンなどで描いた背景を作っておき、その上から切りぬいた草々や子どもたちの姿を何回かに分けて、重ねはりして仕上げます」(※)と「切り重ね絵」と名付けた表現にも触れている。

(※)「山陰の野の花たち2 花童(はなわらべ)」松本伴四郎著より引用

 

どの作品もやわらかな色合いで、草花の姿や登場する人物の動きなど臨場感にあふれ、風や温度を感じたり、子どもたちの声が聞こえてくるようだ。植物をモノクロで表現した切り絵作品も、どこか温かな雰囲気が感じられるのは、野の花に対する松本さんの愛情が表れているからなのかもしれない。

今後、「シーズンごとに作品を入れ替えながら展示し、皆さんに見ていただけたら」と、三成さんは話した。

問い合わせはファッションハウスミナリ(電話:0852-21-4020、10:00〜18:00、日曜日定休)へ。

 

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