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WEBでも教えて! 青山せんせい 「正しい甘え」が子どものココロを強くする! 編

りびえーる本紙でも大きな反響をいただいている子育て応援企画「教えて!青山せんせい」のWEB版。

就学前から10代後半までの子どもたちを持つ親&祖父母へ向けて、毎回さまざまなテーマをお届け。どの世代へ向けたお話も、どこかで必ずあなたのお子さん・お孫さんにつながるのが不思議です。

子どもも親も祖父母も幸せになる…子育てを楽しんじゃうヒントを、この連載で見つけてください!

「正しい甘え」が子どものココロを強くする! 編

ただでさえ暑い夏の日、子どもの甘えやわがままに振り回されると、親はへとへと。

「どこまで聞いてやればいいの?」「一度ゆるすとクセになってしまいそうで…」と、甘えに対して厳しく見てしまいがちです。

でも「しっかり甘えた子は強いですよ!」と青山せんせい…それってどういうこと??

今回は、私たちが勘違いしがちな“甘え”の本質について、一緒に考えます。

 

それでは今回も…教えて!青山せんせい!

 

「正しい甘え」とは…子どもたちは何を求めている?

 

「『しっかり甘えられた子が強い』のはなぜですか?」という質問がありました。

○○を許したら要求が加速するのではないか、甘やかしたらわがままな人間になるのではないか…そう思う人は多くいます。

私がこれまで相談いただいた、多くの子育ての最中に起こるトラブルや問題について聞かせていただく中で、気が付いたことがあります。

 

これはもう何度もお伝えさせていただいているので、「またこれか」と思うかもしれませんが、大切なことなので、何度でも言います。

何度でも言わせてください。

 

正しい甘えを許された子は 強い ということです。

 

心が元気ではなくなったり、癇癪(かんしゃく)を起こして親や先生を困らせたり、

お友達にいじわるしたり、お友達からの嫌がらせにいじわるされたり、

いじめたり、いじめられたり…

この子たちに共通するのは、正しく甘えさせてもらっていないということです。

 

“甘え”というとつい、子どもの「嫌だ」とか「できない」とか、何らかの要求を想像しがちですが、そもそもそこを甘えと認識している時点で、それが間違っているんです。

それは“要求”です。

 

では、甘えというものをちょっと考えてみましょう。

“甘え”とはおもしろいことに、“依存”だと思います。

子どもが親に癇癪を起すとき、暴言を吐くとき

これは明らかに甘えの行動なんです。

 

だって相手に甘えていなければ、そんな行動をしないじゃないですか。

道行く人に暴言を吐いたり、癇癪を起すことはないじゃないですか。

(でも最近はだれかれ構わずに こういう態度をする人もいますが…それも甘えだと私は思います)

相手に対して「甘えている」から、そういう態度を相手にするのではないかと感じます

 

それらの行動は、一見すると反抗的に見え、相手や社会に反発しているように見えます

そうなんです。反抗という甘えを繰り返しているだけです。

 

人は本来、甘えと反抗を小さく繰り返し、自分の経験や思考の範囲を広げながら成長をするものです。

そのスタートがやるやる期(イヤイヤ期)なんですがね…。

 

この小さな反抗や甘えを受け入れてもらえずに育った人は、「甘えたい気持ち」を受け入れてほしいがため、周りの人や自分に対して「反抗や攻撃」「嫉妬」「すね」「自己卑下」など、さまざまな形で「甘え」を要求していきます

これが厄介なので、私たちは「甘えさせたらこれらの言動がさらに悪化するのではないか」と心配になるんですよね。

では「甘え」という言葉の部分を「安心」に換えて考えてみてください。

 

「甘えが欲しくて」ではなく「安心が欲しくて」反抗や攻撃、嫉妬したりすねたりする。

 

どうでしょう。少しわかった気がしませんか??

 

子どもたちは 安心が欲しいんです。

どんな安心かというと、自分はお母さんやお父さん…親に大切にされているという安心です。

 

わたしは大切にされている。私は私のままでいい。 

わたしは存在してもいい。ここにいてもいい。 

 

これです。

存在の安心が欲しいのです。

 

「私の命はそのままでいい」…“甘え”が育む強さ


みなさん考えてみてください。

わたしたちは「ここにいてもいいのかな」という不安にいつも脅かされています

学校で、職場で、コミュニティで、家族の中で… 

全ての不安は「ここにいてもいいのかな」という不安なんです。

 

これが満たされた子どもは強いですよ。

だって満たされているんですもの。

「いのち」そのものがそれでいいと満たされるんですよ。

そりゃあ 強いに決まってるじゃないですか。

 

あなたの命は それでいい

 

これを、この「安心」を確認したくて、甘えたいのです。

だから周囲がここを勘違いをすると厄介なんです。

「これが欲しい」「これをしたい」

こういう物欲という要求を甘えだと認識した親は、欲しがるモノを与えたり、子どもの要求を聞くことが甘えさせることだと勘違いしているんです。

これは、甘えではないです。

それは甘えと勘違いをした「要求に対する甘やかしです。

本来の甘えとは、存在に対する甘え・その子そのものに対する甘えなので、モノではないのです。


「正しく甘えられた子どもは強い」

言い換えます。

「安心させてもらった子どもは強い」

さらに言い換えます。

「命の存在を認められた子どもは強い」

さらにさらに、言い換えます。
 

「あなたの命はそのままでいい。

大切に思っているよ。そのままでいいよ」と。

 

認められ、心の中に無意識に自分の存在への安心がある子どもは、強いに決まっていると思いませんか??

私は思います。

 

育ちに必要な「安心」こそが“甘え”の本質


「甘え」という言葉を 私たちは勘違いしています。

 

甘えとは、育ちに必要な「安心」なんです。

そう思ったら、ねだられるまま何かモノを買い与えたりすることが甘えではないこと、叱ったり怒ったりすることではそこからほど遠くなってしまうことに気付くでしょう。

 

安心があるから 人は 育つんです。

 

どんな風に?

安心して、「自分のチカラを十分に発揮して」育つのです。

 

たくさんのご相談の中に現れる子どもたちの姿が浮かびます。

みんなね、

 

「私は本当にお父さんお母さんの子どもに生まれてきてもよかったの?」

「お父さんお母さんを困らせてごめんね」

「お父さんお母さんが怒るのは私が悪い子だからだよね」

「ごめんね 生まれてきて」

「生まれてこなきゃよかったね」

 

って 心の中で無意識に思っているんです。

無意識に「存在への不安」を抱えているんです。

 

そんな思いを抱えていたら、弱いに決まってるじゃないですか。

この世から必要とされていないと感じている子が、自分のことなんか大事にしないし、人に優しくなんてできっこないんです。

だからこそ、「正しい甘え」が必要なんです。

 

では、ここで質問です。

 

どんな甘えが正解でしょうか?

 

もう言わなくてもわかりますよね?

考えてくださいね。

 

ではまた来月!

 

「しあわせなおかあさん塾」青山節美さん(松江市)

 親学ファシリテーターとして4,000人以上のお母さんたちと接する中で、「親が変われば子どもの未来は変わる」を理念に2018年同塾を開講、講座動員数は現在延べ1万人以上。

 登録者数3.76万人(2024年7月末現在)を数えるYouTubeチャンネル未来へつながるしあわせな子育て塾でも迷える親たちへ具体的なヒントとエールを送り続けている。

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