読みもの
創る【松江市】〈着物リメークデザイナー山根英美さん〉
着物地を生かして 丁寧に
ブラウスやワンピース、コートからスカジャンまで、タンスに眠っていた着物をさまざまなアイテムにリメークし、再び表舞台へ登場させている着物リメークデザイナーの山根英美さん。「嫁入りの支度として親が用意してくれた着物。親の思いを考えると、一枚でも大切に長く着てもらえるようお手伝いできたら」と話す。
2000年、カラコロ工房のオープンと同時に同工房内に雑貨店「暮らしのギャラリーなすの花」をオープン。お店の特徴あるアイテムとして、当時流行していたリメークに注目。中でも着物の華やかさや色柄、シルクの質感などにひかれたことから、着物のリメークを独学で始めた。試行錯誤を重ね、着物地ならではのデザイン・縫製などの技を身に付け、オリジナルブランド「MADAME LILA(マダムリラ)」を立ち上げ、ファッションショーも開催して多彩なデザインを披露してきた。
着物をリメークする上で大切にしていることの一つが素材を生かすこと。例えば、正絹(しょうけん)のつややかさ、大島紬(つむぎ)のつやと張り、ちりめんのやわらかさを生かし、ワンピースやコート、ブラウスなどに仕上げる。
色柄を巧みにデザインに融合させることも心がけている。胸や裾など、どこにどのように柄を置くといいのか、デザイナーの腕の見せどころでもある。「柄合わせが難しい」だけに、うまくいくと喜びもひとしお。
特にオーダーの場合、注文主の持つ雰囲気、体形などを考慮し、デザインを起こしパターン取りする。完成した服を着たときに、着心地の良さで表情がイキイキと輝く―その瞬間を見るたびに喜びと安ど感に包まれる。
時間がかかる仕事だが、型崩れすることなく長く着られる一着にするために、とことん「丁寧に」をモットーにしている。「20年続けてきた結果が今につながっている。オーダーしてもらえたからこそ」と感謝を口にする。「好きなことが仕事になり、長く続けられ、天職に出会えたと思っている。これからも頑張りたい」と熱く語り、さらに、「着物ならではの裁断方法など、これまで培ってきた技術を、若い世代に伝えていきたいと、後進の育成にも力を注ぐ。