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WEBでも教えて! 青山せんせい 【不登校】過去最多を更新…3つの要因と5つのポイント+α 編
りびえーる本紙でも大きな反響をいただいている子育て応援企画「教えて!青山せんせい」のWEB版。
就学前から10代後半までの子どもたちを持つ親&祖父母へ向けて、毎回さまざまなテーマをお届け。どの世代へ向けたお話も、どこかで必ずあなたのお子さん・お孫さんにつながるのが不思議です。
子どもも親も祖父母も幸せになる…子育てを楽しんじゃうヒントを、この連載で見つけてください!
【不登校】過去最多を更新…3つの要因と5つのポイント+α 編
先ごろ発表された、不登校に関する2023年度の文部科学省調査結果には衝撃が走りました。
全国の小中学校で2023年度に学校を30日以上欠席し「不登校」とされた児童生徒は、34万6482人と過去最多を更新。
増加は11年連続で、10年前比で小学生5.4倍、中学生2.3倍…もはや、私たち大人全体で考えなくてはならないことだと感じます。
今回は、コロナを経た不登校の現状と、大人世代が心しておきたいいくつかのポイントを一緒に考えていきましょう!
それでは今回も…教えて!青山せんせい!
不登校増加、3つの要因
不登校の子どもたちが35万人…というニュースを目にしたときに、私は驚きは感じませんでした。
小中学校の不登校の児童生徒数が過去最多を更新し、右肩上がりで増加するのは予想していました。
背景はどんなものが考えられるのかとさまざまなところで質問されるたびに考えて答えているので、今回はこれをシェアしたいなと思います。
背景には複数の要因があります。
まずは、不登校に対する社会的認識の変化が大きいかなと思います。
「不登校が29万人!」といわれたのはつい最近でした。
いきなり増えたわけではなく、2012年ごろを境に増え続けていました。
それまでも10万人近い不登校状態の子どもはいたのですが、まだ社会がそれらについて問題視もしておらず、「家庭の問題だ」と、家庭だけにその原因と解決を求め、個人の問題にしていた時代があります。
やがて不登校の人数が増え、ニュースでも取り上げられるようになり、多くのメディアやインフルエンサー、配信者らがこのことについて触れることで、以前より不登校に対する理解が広まり、情報が手に入れやすくなり、その結果の風潮として、無理に登校させない保護者が増えました。
つぎに、生きづらさの低年齢化があげられると思います。
従来、不登校といえば「思春期」という印象が多かったものですが、近年ではさまざまな問題が低年齢化していることも不登校増加の要因ではないかといわれています。
「小1プロブレム」などに代表されるように、学校教育への適応に時間がかかること。
コロナをはじめ子どもを取り巻く社会環境の変化による人間関係構築スキル獲得の経験不足、そこから発生する人間関係トラブルの低年齢化。
この“経験不足”から、年のころなりの自立ができておらず、自信喪失を抱える子どもは増えています。
加えて社会全体の規範意識が強くなり、息苦しさを感じる親子も増えている気がします。
そして、不登校の増加のいちばんの要因は、不登校が身近な現象になったことではないでしょうか。
不登校が増えたことで、クラスに複数の不登校児がいることが珍しくなくなっています。
子どもにとっても親にとっても身近になったぶん、対応も身近になった。
だからこそ、通常では頑張って学校へ行っていた子どもも、休みたいと言いやすくなった。
通常なら「頑張って行きなさい」といってた親も、「じゃあ休む?」と言った方がいいと思っている…ということです。
不登校が身近になったからこそ、不登校の初期対応が「学校行きたくない=休ませる」という簡略化した流れになってしまい、本来ならば親子や先生が対話しながら観察し、進めることが理想的であるのにもかかわらず、より「(不登校対応が)やりにくくなった… 」のかもしれません。
そう考えると、不登校の理由として以前はいじめが多くの原因だったんですが、現時点ではいじめよりも『勉強意欲の低下』や『部活や友人関係の悩み』『将来への不安』『倦怠(けんたい)感』といった、大人と同じようなことが理由に挙げられています。
この点では、実は青少年の自死の理由にも重なる部分があります。
今、私たちが心したい5つのポイントと意外な“最初の一歩”
現在の社会的傾向や教育環境の変化を考慮すると、不登校の児童生徒数は今後も増加する可能性が高いと考えられます。
それに伴って、高校の不登校や中退、通信制高校の存在もクローズアップされていく必要があると感じています。
また、その後の生き方にも大きく影響することは考えられるので、今後社会全体として、価値観や仕組みを改めることが必要な段階にきているのかもと感じています。
ということは 学校の仕組みも変える必要があるのでしょうね。
保護者は以下のようなマインドセットを持つことが重要です。
ベタですが…これしかないと私は考えています。
1.子どもの声に耳を傾けること
子どもの話をゆっくりと聞き、その気持ちを理解しようと努めること。
しかも、否定せずです。
これができないから大変なのでしょうが、逆に自分がその立場だったらと考えてください。
頭ごなしに否定されて「気持ちがいい!」とか「幸せ」とは感じないですよね。
これが、まず第一にやってほしいことです。
2.ストレスの軽減
無理に登校させるのではなく、子どもの心の負荷を取り除くような言葉かけをすることが重要です。
こういうと多くの親は「甘やかすとうまくいかない」と思うものです。
違うんです。
これが満たされると自己実現をしようとするんです。
3.心が元気になってから
特別教室や保健室登校、転校など、さまざまな選択肢を柔軟に検討してください。
何度も言います。
心が元気になってから、もしくは親子関係が改善されてから、多様な選択肢を提案してください。
心の状態が改善されていないのではどこにも行けません。
4.個別の状況に応じた対応が必要だと理解すること
不登校の原因は多様化・複雑化しているため、一人ひとりの状況に合わせた対応を心がけることが重要です。
誰かにとっていい方法が、自分のお子さんにとってもいい方法であることは少ないです。
だから、悩む必要があるし、その悩む行動の中に答えがあります。
5.不登校は一時的な状態だと信じること
不登校を、子どもの成長過程の一部として捉える視点を持つことが大切です。
「ずっとこのままだったらどうしよう」と思うものですが、ずっとこのままなはずがないのです。
ただ、方法が間違えば、ずっとこのままになってしまうこともありえます。
今ここでは、長期的な視点を持つことをお勧めします。
そして意外なポイントですが、できるかできないかは別として、これらの問題を解決するのに一番効果があるのは「規則正しい生活」です。
私の考えでは、これが絶対です。
が…「えぇ~~??できない!」「無理!」と一瞬頭をかすめた人がいますよね?
だからなんですよ。
現代の子どもたちは、昔の子どもたちより規則正しい生活はできていないし、食生活もよくないです。
だから、倦怠感ややる気がないのは当然かなと思います。
規則正しい生活というものは、実は人間の体を健康にするし、思考も安定させます。
なので、親子で、家族みんなで、最初の一歩として取り組んでみるのもいいかもしれませんね。
「しあわせなおかあさん塾」青山節美さん(松江市)
親学ファシリテーターとして4,000人以上のお母さんたちと接する中で、「親が変われば子どもの未来は変わる」を理念に2018年同塾を開講、講座動員数は現在延べ1万人以上。
登録者数4.16万人(2024年11月末現在)を数えるYouTubeチャンネル「未来へつながるしあわせな子育て塾」でも迷える親たちへ具体的なヒントとエールを送り続けている。