境港の老舗カニ専門店・丸八水産直営。

煮干し蕎麦（そば）で名をはせる「横濱ノ貫（へちかん）」で修行した店長が、角立った細麺はそのままに、スープではよりカニのうまみを打ち出す。

まずはトッピングのカニの量でトリプルまで選べる紅ズワイガニらぁ麺（写真はシングル1,400円）で、ふっくらした身を舌触りのいい麺・濃厚なスープといただく至福に浸ろう。

トングや殻置きが付いているので手を汚さず、ラーメンに集中できる。

“添え物”とは別格の、しっとりとろけるカニ肉の味わいや食感は、さすが大正5年創業の専門店。

境港産煮干しをベースに、カニまるごとのエキスがたっぷり溶け込んだスープが、美しく切り揃った麺をしっかり含んでひたすらに旨い。

「実は煮干しにもいろいろあって、丿貫でもよく使うのはカタクチなどの風味強めのもの。こちらではアジなどやわらかなうま味のもので、よりカニの味わいが際立つように工夫しています」

と店長の城下正志さん。

麺のおいしさにも心酔するところだが、小ロットの限定生産にも対応する東京の製麺所から取り寄せている。

「基本は蕎麦をイメージしたパツッとエッジの立つ麺。加えて、日々さまざまな魚介ダシを使ったラーメンを提案しているので、それに合わせて“遊べる”麺を、きめ細かなオーダーに応えて作ってもらっています」

言葉通り、メニューには牛骨ラーメンやユニークな日替わり麺、お代わりとしてペースト状にした魚介などを麺にからめていただく丿貫名物の「和え玉」も。

日替わりの内容はSNSを要チェック。

シメは専門店仕込みの雑味のないカニみそがのったＫＳＧ（カニ専用ご飯、400円）でキマリ。

こんなにおいしい食べ方があったのか！と思わせてくれる逸品だが、実は丸八水産のまかない飯に端を発するそう。

ラーメンのスープとカニ身は、このために少し残しておくのがベスト。

そのままでよし、スープをかけて味変も◎。

このほかご飯ものには地魚を使った海鮮丼などもスタンバイ。

お酒に合わせる“蕎麦前”や、地酒・ビールでも楽しませる。

ラーメン店を感じさせないスタイリッシュな店内で、滑走路を眺めながらの一杯は最高！