グルメ
【出雲市】<Butter yellow Cafe(バターイエローカフェ)>眼下に広がる眺望と絶品コーヒーでひと休み
公務員を定年退職した夫婦が開いた自家焙煎コーヒーと手仕事の逸品を扱うカフェは、一畑薬師山上商店街の空き店舗をセルフリノベーションし、眺望ばつぐん。
50℃洗い・手煎(い)り・ダブル焙煎など“こだわり”の一言では足りない丁寧さで仕上げるコーヒーと自家製スイーツを楽しめる。
初夏は水出しコーヒーで入れるスッキリ飲みやすいアイスカフェオレ(600円)と、ふわふわのシフォンケーキ(500円)でゆっくり…がおすすめ。
アイスコーヒー類は、焙煎を担当する店主・筑後正博さんの細かなオーダーに応えてくれる県外の焙煎所から取り寄せた豆でじっくり抽出。
ラテの氷はコーヒーでできているので、木次パスチャライズ牛乳のコクが薄まらず、最後までおいしい。
合わせるデザートは妻の真子さんが作る、一番人気のシフォンケーキ。
レシピに工夫したというだけあって、上から下まできめが均一でしっとり!
「せっかくだからホットも飲んでみませんか?」と正博さん。
お店の自家焙煎も試してみたい…とひそかに思っていたところに、うれしいご提案!
ホンジュラス(500円)をいただくと、舌をすべるようななめらかさと芳醇な香り、透明感のある澄んだ味わいに驚いた。
「もともとコーヒーは好きでしたが、流通しているものは雑味が気になって。自分でやってみよう、と家庭用の焙煎器で手煎りに挑戦してみたのが始まりです」
もっとおいしく…と調べながら突き詰めているうちに、どんどん深みにハマっていったそう。
機械を使えば一度に3キロほどは焙煎できるところを、豆をハンドピックで選別しつつ全工程手作業で行うため、100グラム程度ずつ何回にも分けて作業しているという。
焙煎後の豆は1~2日寝かせて味を安定させる、2週間を過ぎたものは店には出さない…など品質管理も徹底。
「販売用の豆も作れば利益が出るんでしょうが、そこまで手が回らないんですよねぇ」と夫婦で笑う。
手仕事の苦労にも頭が下がるが、商売っ気のない人の良さも過ぎる。
クラフトの展示販売も見応え満点。
夫婦がそれぞれ作る籐(とう)のバッグや黒柿のアクセサリーほか、県内の作り手を中心に二人が選んだ陶器、布小物などを集める。
棚やカウンターなど店内の什器もほとんどが店主の作というからおどろき!
店舗は晴れた日は宍道湖から大山まで見渡せる、一畑薬師門前町の中でも絶好の立地にある。
元飲食店だった建物を、自分たちで壁や床を塗りなおしてリノベーション。
家具の一部も当時使われていたものを補修するなど、文字通り手をかけた店内は居心地バツグン。
一帯を盛り上げたいからと作った店舗横のオープンガーデンは、近隣店舗で買った食べ物も持ち込み可で自由に使用でき、ペット連れにも対応する。
「退職したらいつかは持ちたいと思っていた自分の店。この場所を選んだのは、寂れていくこの町に活気を取り戻したい、という思いにくわえて、一緒にやろうと迎えてくれた商店街の人たちの人柄に惹かれたからです」
緑に包まれる絶景を眺めながら、コーヒーとスイーツ、クラフト製品の持つあたたかさにくつろぎの時間を過ごしてほしい…と筑後さん夫妻。
二人との気取らないおしゃべりも、ここに来る理由の一つになりそう。