SPECIAL TOPICS

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ローカルフードを食べてみよう!! 松江カツライスをもっと盛り上げたい!

島根県東部中心に提供店!

島根が誇るご当地グルメの一つ「松江カツライス」をご存じですか?

提供店が松江市周辺とニッチなためか、出雲そばほどメジャーではないものの、地域のソウルフードとして昨今じわじわ盛り上がりを見せています。

ネクストブレイクへの伸び代を感じた編集室が、満を持してカツライス特集をお届けします!

(記事は2025年6月13日現在)

今回の強力な助っ人 … 松江カツライス研究会代表・河合 賢治さん

松江カツライスに魅了されて10年以上。1,600人以上が集まるFacebookグループや900超フォロワーを数えるⅩで情報を発信し続ける。

松江カツライス研究会HP  こちらから

Facebook「松江カツライス-プロジェクト」 こちらから

Ⅹ「松江カツライス研究会」 こちらから

 

河合代表、「松江カツライス」について教えてください!

研究会が考える松江カツライスの定義

・ワンプレートの平皿または深皿を使用

・ライスの上にカツがのり、そこにデミグラスソースなどの洋風ソースがかかっている

・サラダやスパゲティなどの副菜が添えられることが多い

 

大まかには右の3点を満たしたものとしています。お皿が金属だとより昭和感が刺さりますね。

ソースをデミグラスに限定しないのは、ミートソース風やトマト感強めのソース、ケチャップやとんかつソースで仕上げるお店もあるため。

かけ方も、全体にかける、カツの中央寄りから下、中央だけ…など個性が表れます。定義が厳密でないのも特徴のうちですね。

カツライスの起源と松江カツライスの誕生

いわゆる「とんかつ」は、昭和4年ごろ東京で誕生。

カツライス発祥の店といわれる同年創業の大阪・大井食堂では、昭和5~6年ごろからカツライスが提供されていました。貴重だった野菜をあまり使わず、時短で作れるメニューとして生まれたそうです。

一方松江市では、昭和7年に市内初の洋食店・西洋軒(同市片原町)が開業。

先代のご主人から聞いたところ、現在のメニューは当時の内容から品数だけ絞り込んだもの。つまり現行のメニューにあるものは全て創業時からあるものということになり、松江で初めての提供店だったことが裏付けられました。


次になぜ西洋軒で提供されたのか…についてですが、同店の初代は神戸の洋食店・東洋軒で修業されたそう。

このころ関西~山陰・山陽の交通網はすでに整っていたことから、初代が大井食堂で食べて印象に残っていた、修業先の東洋軒もしくは創業当時の西洋軒に客から伝わった…いずれも不思議ではありません。

また初代は開店にあたり、考えうるかぎりの西洋料理をメニュー化したそうで、偶然生み出されたものが大井食堂のものに似ていた可能性も。

この取材からほどなく先代が逝去。思い出深く、松江カツライスのルーツを探る上でも貴重な取材となりました…

松江カツライスの広がりと現在地

西洋軒の弟子たちが独立して自店で提供したり、メニューの模倣で松江エリアを中心に広まったと考えられます。

洋食店ほかレストラン、喫茶店、食堂などで提供されてきましたが、店主らの高齢化もあり近年減少傾向に。

現在研究会で把握している提供店の数は、流動的ですが島根県下で50店程度。

うち25店くらいが松江圏域で、5月時点で東は安来市、西は大田市仁摩町、南は奥出雲町横田、北は松江市島根町まで分布が確認できています。

若い人たちが新しいスタイルのカツライスを生み出しているのも頼もしいです。

河合代表はなぜ松江カツライスを研究しているの?

私自身は大阪出身。本業は獣医で、松江で35年ほど前に開業しました。

ほどなく出合ったのがカツライス。初めて食べた店は、おそらくフードコートの、カレーライスなどを出している店で、初めて見る料理に興味を持ちました。

というのも、関西以東ではカツライスといえば“トンカツ定食”で、ワンプレートでご飯と一緒にソースがかかるものは記憶になかったんです。

当時普及し始めたインターネットで、付近の飲食店メニューを片っ端から確認すると、島根県でも東は県境まで、西部には見当たらない。なぜ極端にエリア限定なのか…調べるほど深みにハマっていきました。


現在、研究会では500人くらいが活動し、提供店を新たに発見するとこぞって情報発信を楽しんでいます。

せっかくある松江の伝統が、次世代に引き継がれていったらうれしいですし、あわよくば木曜夜9時の某ご当地ネタ系テレビ番組で取り上げられてほしい!

全国規模のテレビではまだ大々的に出てないんですよね。

河合代表のおすすめコメント付き! 元祖とニューウエーブ 押さえておきたい店4選

“昔ながら”を貫く取材候補店の多くはご高齢やご多忙で取材交渉が難航。

その中で、河合代表のアドバイスもいただきながら選んだ、「松江カツライス」を語る上で押さえておきたい名店や、次世代を担う店をご紹介します。

松江カツライスの元祖はこの店 ― 西洋軒

創業当時からの味を守る王道の洋食が愛され、三代続く名店。

カツライス(1,100円)には島根県産豚を使用。ご飯と食べてなじむよう薄めにスライスしたものに生パン粉をまとわせ、中温で揚げることで、きめ細かで軟らかい肉の食感をいかしつつ、ザクザクした衣の食感も楽しめる。

カツの食感を損なわないよう中ほどからかけるデミグラスソースは、仕込みに3週間かけ、継ぎ足しで深みを増した店の“宝”。野菜のコクと酸味が舌に心地よく、カツとライスを巧みにまとめ上げ最後まで飽きさせないのはさすがの一言。

 

<おすすめコメント>
松江カツライスを語る上で外せません。初めて食べる人にもおすすめです!

 

西洋軒
住所:松江市片原町111 【MAP】
電話:0852-22-3434
営業:11:30~14:00、17:30~19:30
休み:日曜日
駐車場:あり(3台)

 

王道の松江スタイルを受け継ぐ筆頭 ― カメノ食堂

薄めのカツにデミグラスソースをなみなみとかけ、銀色の皿に盛り付けたカツライス(1,150円)はまさに王道!

ラードとピュアオリーブオイルで揚げた大山豚のカツは、さくっと軽い。デミグラスソースはトマトピューレや牛スジ肉などをじっくり煮込み、うまみを凝縮。

島根県海士町で長年洋食店を営む父親にならい、味付けにワインよりも日本酒を多く入れることでさっぱりと食べやすいソースに仕上げる。このデミグラスを加

えた付け合わせのスパゲティも主役級の存在感!大満足の一皿を味わってほしい。

 

<おすすめコメント>
催事限定のテイクアウトがおいしすぎて定番メニュー化をお願いしました

 

カメノ食堂
住所:松江市寺町101-10 【MAP】
電話:0852-40-9247
営業:11:30~14:00、
         18:00~21:00
         (L.O.各30分前)
定休:水曜、木曜は不定期で月2回
駐車場:あり

自分好みのカツを選べる喜び ― ば~る ここぺり

街の洋食屋として親しまれるお店のカツライスは、王道のポークに加え、チキン、ビーフの3種類から選べるのが特徴だ。

いち押しのビーフカツは、程よいやわらかさとジューシーさを両立させる絶妙な揚げ加減。衣の食感を際立たせるため、デミグラスソースはカツの下に広げるのがシェフのこだわりだ。

取材時には、今月新登場したオプション「トロトロ卵のせ(180円)」「濃厚チーズソース(280円)」をビーフカツライス(1680円)に追加。スタミナが増す進化したメニューに作り手の情熱を感じた。

 

<おすすめコメント>
豚・鶏・牛と3種類から選べるのはレア。カツライスの可能性が広がります

 

ば~る ここぺり
住所:出雲市大津朝倉1-7-5【MAP】
電話:070-2212-0823
営業:11:00~14:00、18:00~21:00
休み:日曜、祝日 ※不定休あり
駐車場:あり

オリジナリティーあるソースで界隈に新風 ― Kitchen Takeru/キッチンタケル

創業2年目の洋食屋。30代の若き店主が手がけるカツライス(3種の前菜付き1320円、写真)は、やさしい甘みが広がる奥出雲豚のカツに、しまね和牛のすじ肉と香味野菜からだしを取った特製デミグラスソースをぜいたくに絡める。

メニュー化のきっかけは、カツライスの認知度の低さを実感したこと。そこを差別化のチャンスと捉え、試行錯誤の末にオリジナルの一皿を完成させた。

カツとソース、それぞれの味わいを楽しみながら、ライスと三位一体となることで生まれる味の変化も堪能してほしい。

 

<おすすめコメント>
間借り営業時代からフレッシュな感性が光る一皿に注目していたお店です

 

Kitchen Takeru
住所:松江市寺町101-10【MAP】
電話:0852-61-5336
営業:11:00〜15:00、18:00~22:00(L.O.各1時間前)
休み:日曜日
駐車場:あり(2台)※空いてない場合は近隣有料駐車場を利用

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