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レシピ付き! 島根のお雑煮♪
島根県は東西に長く、お雑煮の種類もさまざま。島根県立大学看護栄養学部健康栄養学科准教授・籠橋有紀子さんと助教・石田千津恵さんに、島根県内のお雑煮について教えていただきました。
お正月は、島根県内のお雑煮を作って楽しんでみませんか?
岩のり雑煮(出雲地方・隠岐)
古くから出雲を代表する特産品として江戸時代には将軍に献上されていた、「十六島紫菜(うっぷるいのり)」。その岩のりをのせた雑煮です。
だしはカツオや昆布、イリコが一般的。隠岐ではアゴ(トビウオ)や、シイタケでだしをとることもあります。お餅は丸餅(平餅)で焼かずに使う点は県内で共通です。
◎レシピ
<材料>(4人分)
丸餅…8個
もちのり…適量
花かつお…適量
(だし汁)
水600ml
だし昆布6g
かつお節12g
調味料(A)…薄口しょうゆ20ml、塩4g
<作り方>
❶だし汁は600mlの水にだし昆布を入れ、沸騰直前に昆布を取り出し、かつお節を入れ煮立てる。火を止め、かつお節が沈んできたら漉(こ)して、Aの調味料で味付けする。
❷丸餅8個は、たっぷりの水を沸かし、沸騰したところに入れやわらかくなるまで煮る。
❸丸餅2個をわんに入れ、温めただし汁を注ぐ。もちのり(岩のりを乾燥させたもの)と花かつおを適量のせる。
小豆雑煮(出雲地方)
甘く煮た小豆にもちを入れた小豆雑煮。ぜんざいのようですが、汁がさらりとしているのが特徴で、もともとは、塩味の小豆汁だったといわれています。
子孫繁栄を願って作られ、元日は小豆雑煮、正月二日を岩のり雑煮にする地域もあれば、逆に元日は岩のり雑煮で正月二日を小豆雑煮にする地域などもあり、さまざまです。
◎レシピ
<材料>(4人分)
丸餅…8個
小豆…300g
ぬるま湯…900ml
砂糖…100g
塩…小さじ1
<作り方>
❶小豆300gにぬるま湯(約30℃、分量外)をかぶるくらいに加え火にかける。沸騰直前に湯を捨てて、再度ぬるま湯を加えて火にかける。この渋抜き作業を2回行う。
❷①の小豆にぬるま湯900mlを加えて火にかけ、沸騰したら火を弱めて1時間ゆでる。途中、ゆで汁から小豆が出ないように水を足す。ペーパータオルをのせると小豆が踊らず胴割れを防ぐことができる。
❸小豆が十分にやわらかくなったら砂糖100gの2/3量と塩小さじ1を加える。砂糖が溶けたら残りの砂糖を加え、30分から1時間、煮汁がひたひたの状態になるまで煮る。
❹丸餅8個は、たっぷりの水を沸かし、沸騰したところに入れ、やわらかくなるまで煮る。
❺わんに餅と小豆を汁ごと入れる。好みで砂糖(分量外)をかけて食べる。
黒豆雑煮(石見地方)
島根の方言で「元気」を「まめ」といいますが、健康を願い縁起のよい黒豆を載せたお雑煮です。
豆の数は2粒と決まっている所もあれば数粒とする所もあり、家庭によっては、かつお節を加えます。山間部では干し鮎のだしを使うこともあります。
◎レシピ
<材料>(4人分)
丸餅…8個
黒豆煮…適量
花かつお…適量
だし汁…水600ml、だし昆布6g、かつお節12g
調味料(A)…薄口しょうゆ20ml、塩4g
<作り方>
❶だし汁は600mlの水にだし昆布を入れ、沸騰直前に昆布を取り出し、かつお節を入れ煮立てる。火を止め、かつお節が沈んできたら漉して、Aの調味料で味付けする。
❷丸餅8個はたっぷりの水を沸かし、沸騰したところに入れ、やわらかくなるまで煮る。
❸丸餅2個をわんに入れ、温めただし汁を注ぐ。黒豆煮と花かつおを適量のせる。
五色雑煮(大田市)
五色雑煮は、世界遺産である石見銀山がある大田で伝わるお雑煮です。
錦糸卵、す巻きかまぼこ(ストかまぼこ)の細切り、青菜、のり、かつお節を丸餅の上に盛り付けた、色彩豊かで具だくさんのお雑煮で、古くは婚礼用として食べられていました。
◎レシピ
<材料>(4人分)
丸餅8個
錦糸玉子(卵…2個、砂糖12g、塩少々)…適量
す巻きかまぼこ(ストかまぼこ)…適量
セリまたは三つ葉…適量
岩のり…適量
花かつお…適量
だし汁…水500ml、だし昆布5g、かつお節10g
調味料(A)…薄口しょうゆ大さじ1、みりん大さじ1、酒小さじ1
<作り方>
❶だし汁は500mlの水にだし昆布を入れ、沸騰直前に昆布を取り出し、かつお節を入れ煮立てる。火を止め、かつお節が沈んできたら漉して、Aの調味料で味付けする。
❷錦糸卵を作る。
❸セリまたは三つ葉をゆでて、5センチくらいに切る。
❹かまぼこは短冊切りにしておく。
❺丸餅8個は、たっぷりの水を沸かし、沸騰したところに入れ、やわらかくなるまで煮る。
❻⑤の丸餅2個をわんに入れ、上に五色の具材(錦糸玉子、かまぼこ、セリまたは三つ葉、岩のり、花かつお)を盛り付け、たっぷりのだし汁をかける。
鮎(あゆ)雑煮(石見地方)
高津川と江の川の流域で取れる天然アユを使った鮎雑煮。
内臓を取ったアユを数日あぶり、保存食として乾燥させた干しアユからとっただしは、上品な香りとコクのあるまろやかな味わい。煮出した後の鮎もそのままわんに盛り付けていただきます。
蛤(はまぐり)雑煮(石見地方)
鴨島蛤(はまぐり)は高津川と益田川に挟まれ、日本海へつながる河口で育ち、出漁時間や漁獲量が規制されている貴重なブランド蛤です。
邑南、美郷町近辺では、蛤雑煮が伝わっており、殻付きの蛤をのせていただきます。
取材協力
島根県立大学看護栄養学部健康栄養学科(島根県立大学出雲キャンパスのHPはこちらから)
准教授/医学博士 籠橋有紀子さん
疾病予防のために、どんな食品や栄養素を摂取したらいいのかについて、島根県の食材にスポットをあてて研究を行う。
また、食品の機能性探索や活用を行い「しまね三昧食品科学研究所」として、島根県の食文化に関連するツールや食品開発を行っている。
助教/石田千津恵さん
食の安全を脅かす食中毒細菌や薬剤耐性菌に関する研究を、調理や給食経営管理の視点で行っている。
また、『伝え継ぐ日本の家庭料理』として島根県の食文化研究に取り組んでいる。