SPECIAL TOPICS

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あなたにも知ってほしい! とっても身近?!な発達障がいの世界

 テレビで特集が組まれたり、芸能人や著名人が自身のこととして告白するなど、よく耳にする「発達障がい」。発達障がいのことを、自身もASD(自閉症スペクトラム障がい)の息子をもつ記者が「島根県東部発達生涯支援センターウィッシュ」に聞きました。自分とは縁がない、と思っている人も少し掘り下げて知っておくと、人間関係がうまくいくヒントを見つけられます。

 

実は身近な「発達障がい」

 「忘れっぽい」「落ち着きがない」「整頓が苦手」「空気を読めない」…誰しも「自分にもそういうところがある!」という部分を持っています。

 「発達障がい」とは、それが主な原因となって自分や他者に強い「困り感」がある状態。

 一人一人の顔や指紋が違うように脳の作りもそれぞれで、得意なこと・苦手なことがある…その延長線上にあるイメージ。

 

 

 つまり、誰にでも全くの他人ごとではない面があるのです。

 病気や身体的なハンディキャップではなく、親の育て方や家庭環境、本人の努力不足が原因なのでもありません。

 一方で、時間の感覚が独特、音・光や感触に過敏(鈍感)、一般的なモラル感に共感しにくい…といった独特の特性があることも。

 あなたが「当たり前」と疑問も持たないことが、彼らにとっては当たり前ではなかったりします。

 

 誰と関わるときも「普通はこうだよ」という発想にとらわれすぎないで、固定観念を疑ってみてもいいかもしれません。

 発達障がいには主に、下の3つのタイプがあることが知られています。

 いくつかの特性が併存する人や、特性の強さが診断基準を満たすほどではないグレーゾーンの人もいます。

早い発見のメリット…理解を深め適切なケアを

 知的に遅れがないことも多いため、障がいが見過ごされたまま大人になる人も。

 トラブルが起こってから、周囲の勧めや自らの気づきで病院や相談機関に行ってわかるケースはよく見られます。

時期
1歳半ごろ、また3歳児検診など


きっかけ
言葉の遅れ、共同注視(親が指さすものを一緒に目で追う)の様子
 

時期
未成年期(就学期)


きっかけ
他者と関わる場面でのトラブル、教室での様子や学習の遅れ

時期
社会人になってから


きっかけ
「業務を効率よく進められない」「人間関係がうまくいかない」などで仕事がつらい、離職を繰り返す

 特性の強さには個人差があり、成長に伴いある程度自己コントロールできることもありますが、成長してから症状が強く出る人もいます。

 早い段階で発達障がいが分かれば、家庭や学校で個々の特性に合わせた適切な支援ができ、当事者は自己理解を深めトラブルを減らせるように。

スタートラインを同じに…「合理的配慮」がカギ!

 発達障がいがある人には、ものの見方や考え方、五感の感覚が独特だったり、ほかの人から見たら「なぜ?」と思うような言動がある一方、高い能力を持ち、特定のジャンルで力を発揮できる人が多くいます。

 皆が同じようにより良く学び、質のいい仕事をするためには、当事者の努力はもちろんですが、周囲の特性に対する理解と、それに合わせたサポートが不可欠。

 この“サポート”を「合理的配慮」といいます。

 2018年に障がい者に関する法律(※)が改められ、学校や職場において合理的配慮の提供が求められるようになりました。

 これは周りの人たちが発達障がいがある人を「特別扱い」すること(上図左)ではなく、本人の努力のもと、周囲とスタート位置を同じにできるよう調整するということ(上図右)。

 お互いが本来の能力を発揮できるようになれば、より学習や仕事の効率を上げる近道になるのではないでしょうか。


 ※改正障害者雇用促進法(障害者差別解消法)

【合理的配慮の例】

・作業や課題の優先順位を一緒に確認する

指示は具体的に伝え、思い違いがないか確認する

・時間割やチェックリストなどに基づき声をかけてあげる

・うっかりを防ぐリマインダーアプリやタイマーを活用する
 ※タイマーは子どもの行動切り替えにも有効!

・手順や準備物などを図や絵を使い、見て分かりやすい資料で示す

集中しやすい環境を作る(仕切る、イヤホンを許可するなど)

「もしかしてそうかも?」と思ったら…相談できる場所を活用しよう

 健診や学校などで疑いを認められ、発達障がいに詳しい病院など医療機関の受診を勧められることもあります。

 このほか自分や家族、身の回りの人の発達障がいについて知りたい・サポートしたいとき、相談の窓口になってくれる「発達障害者支援センター」が全都道府県にあります。

 自分の特性を知り、周囲と理解しあうことで、お互い能力を発揮できるようになっていくといいですね。

支援センターでできること

・当事者・関係者の相談に直接対応

・当事者の年代に合わせた支援の提案

・医療や就労支援など、相談内容に合った機関への取次ぎ

・保護者同士・当事者同士でセッションできる場の提供

・ペアレントトレーニング教室

・ペアレントメンター(当事者の親などの“経験者”)による面談等

・学校現場や企業・団体に向けた啓発活動

島根県
東部発達障害者支援センター ウィッシュ
050-3387-8699
出雲相談室…出雲合同庁舎1階(出雲市大津町)
      さざなみ学園内(出雲市神西沖町)
松江相談室…いきいきプラザ島根2階(松江市東津田町)

西部発達障害者支援センター ウィンド
0855-28-0208
こくぶ学園内(浜田市上府町)
益田相談室…増田保健所(益田市昭和町、水・木曜日開所)

鳥取県
『エール』鳥取県発達障がい者支援センター
0858-22-7208
鳥取県立皆成学園内(倉吉市みどり町)

 

 

 

 ※相談はおすまいの県のセンターへ 

【参考資料「大人の発達障害…その行動には意味がある」】
(文/おち はるみ 絵/ふくだ しょうこ)

 島根県在住で、大人になってから自らの発達障がいに気づいた二人が制作したハンドブック。

 経験に即した具体例が豊富なイラストと読みやすい文章で紹介され、当事者・サポーターともに発達障がいへの理解を深められる一冊。

 300円、取り扱い・問い合わせは島根県東部発達障害者支援センターウィッシュ(上記)へ。

【取材協力/島根県東部発達障害者支援センター ウィッシュ】

編集後記…

 「発達障がいって特別なことじゃないんだ」
ASDの息子がいる私が最近改めて感じることです。「フツウ」って何なのか考えるようになったのは、彼がいたから。
 我が子のことは6歳の頃に分かったものの、知的に問題がなかったため、多少特性について学んだだけで重要視していなかったのは、今、最も後悔していることです。

 トラブルがあるたびいまひとつ「理解しあえない」「フツウのモラルが通じない」と思うときは「いつか伝わるはず」とただ一方的に叱って…思えば一番NGな指導を長い間してしまっていました。
 そんな彼は、反抗期を迎え力で私を超えたとき大爆発。「お母さんは何もわかってない!フツウってなんだよ、僕にはわからない!」。

 家庭内がめちゃくちゃになって初めて、自分はありのままの彼を認めず否定していたんだと思い知り、遅ればせながら彼の世界を理解するために、自分のフツウを疑うことを始めました。

 彼は現在、定時制高校に通いながら好きなゲームに没頭し、独学で動画制作も始めました。未来予測が不得手な特性があり、将来のことを聞いても無関心だったのが、「動画制作を学ぶ学校に行きたい」と口にするように。

 取材した「ウィッシュ」によると、その子に合ったケアを早くから始めることが、成長したときとても大事だそうです。
 就学期の子どもが関係する相談が増えるタイミングは、入学・進級後に環境が落ち着き、行事が増えて行動範囲が広がる2学期だそうですが、今気にかかることがもしあったら、早めの問い合わせをおすすめします。
 障がいがある・ないにかかわらず、今を生きる一人一人がお互いに理解・協力しながら、自分の選ぶ道で力を発揮していけることを願っています。(河)

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