読みもの

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【前編】STOP! 親子ゲンカ ゲーム&ネットと子どもの「いい関係」

 ゲームやスマホに熱中する子どもたちと保護者の「遊びたい」vs「勉強させたい」の果てなきバトル。使用ルールを決めても守れず…を繰り返していませんか?便利なツールとして、子どもたち自身が主体性を持って使いこなすにはどうすればいいのか考えてみましょう。

 

【後編】 教えて!石井せんせい ゲーム障害のこと、気になります… はこちら

教えて!青山せんせい 子どもとゲーム&ネット、どう付き合うのが正解?

 「子どもへの理解がないままゲームを制限するより、彼らが興味を持ち楽しんでいるものに親が共感し、気持ちに寄り添うことで、子どもは約束を守れるようになります!」。

 YouTubeチャンネル「幸せな子育て」も立ち上げた、親学ファシリテーター・「幸せなお母さん塾」主宰の青山節美先生に聞きました。

そもそも、ゲームやネット、動画って子どもたちには害なのでは?

 

 視点の問題で、私は大いに活用してしまえばいいと考えています。

 生まれたときにそんなものがなかった世代=「オトナ」は、よく知らずに「だめだ」「危険だ」と言ってしまいますが、包丁のように、むやみに怖がるのではなく正しく知って賢く活用すればいいのです。

 

 

本当のところ、子どもにゲームやネットって何時間くらいまでならOK?

 

 絶対に守るべき「〇時間」の目安を…という意味でなら、時間制限は必要ないと思いますよ。

世代を問わず生活にすでに浸透していますし、今回のコロナ休校では、誰もがお世話になったのではないでしょうか? しかし、衣食住を忘れるほど没頭するのはもったいないのも事実。

 ゲームやネットのすべてが悪いとは思いませんし、だからといって画一的にリミットはここまで!と言い切るのも現実に即しません。

 一番大切なのは、親子で話し合うこと。押し付けられたことは、守れません。そして親も、子どもの立場や興味関心に寄り添って一緒にルールを決めたらいいと思いますよ。

学習への集中が続かずゲームや動画ばかりで、声をかけても言い逃れ。約束を守らせたり、学習意欲を保つにはどう工夫したらいい?

 

 たとえば、約束はどう決めましたか?

 大人が一方的に「30分だよ!!」などと決めているケースをよく聞きます。

 では、一回ゲームの立ち上げから一緒にやってみてください。30分で終わらせることが、ゲームをしたくてたまらない子どもの心情に合っているか体験してみて。すると、それが現実的な時間設定でないことがわかります。そこから、改めて子どもと一緒に話し合ってみてください。

 

 そして、なぜ学習への集中力がないのか考えたことがありますか?学習に集中できない子には、集中した経験がない子が多いです。

 かみ砕いて言うと集中して取り組んだことで得られる「自分でやった!」という小さな達成感を体験していない。一方なぜゲームには集中できるのか…それはこの達成感を得られるように仕組まれているからです。

 加えて、私はそこにもっと大きな要因があると思っています。それは、勉強と違ってゲームだと、内容について「もっと丁寧にしなさい」「どうしてできないの?」ってガミガミ言われないから。

 学習意欲を保つには、まずは子どもが学習しているときにガミガミ言わないことが大切ですね。

フィルタリングがあるはずなのに、いつの間にか激しいバトル系のゲームにはまったり、ばかばかしい実験動画、ぎょっとするような成人向け?!動画を見ていることも。内容はどこまで把握すべき?

 

 内容を把握するのはいいと思いますが、銃や爆弾が飛び交うバトルものは、ゲームに限ったことではありませんよね。漫画やアニメ…世の中にたくさんあふれています。

 ダメなものを排除するのではなく、どう付き合うのかを教えるほうが先ではないでしょうか。

 子どもの行動をコントロールするより、自分で判断できる子に育てるほうが親子ともに圧倒的に楽です。

 いちいちすべてに付いて回って「あれはダメ、これはダメ」と言い続ける親を、子どもはありがたいと思うでしょうか? それこそ、子どもの考える力や自己コントロールする力を奪うことになります。

うちの中学生はゲームや動画ばかりで学力が落ちている気が…。ちょっと難しい課題になるととたんに集中できず、またスマホ…。何を言っても反抗ばかりで、どうしたらいいかわからない!

 

 よく考えてください。学力が落ちる原因はゲームだけにあるのでしょうか?

 部活や好きなアイドルなど、自分が好きなことに熱中することで学習する時間が減るから、成績が下がるのです。もしかすると、ゲームに子どもが没頭する理由が他にあるかもしれませんね。

 

ルールが守れないとき、ペナルティは決めたほうがいいの?

 

 ペナルティで行動をコントロールされた子は、自己肯定感が低くなるはずです。なぜなら、罰を考える時点で「この子は約束を守らない」と親が決めつけているから。その「期待」通りに子どもは行動してしまいます。

 話し合って、終了時間を“9時”と決めたならば、9時に終われたときに褒めればいいのです。そして「もうすぐ9時だよ」って念を押さないこと。その言葉で「わかってるよ!!」って反抗心がわきます。

しあわせなおかあさん塾

青山節美さん

 親学ファシリテーターとして4000人以上のお母さん達と接する中、「親が変われば子どもの未来は変わる」を理念に2018年「しあわせなおかあさん塾」を開講。子どもたちと接する中で興味を持ったYouTubeに2019年末チャンネルを開設、現在登録者数1.14万人の人気チャンネルへ成長。迷える親たちへヒントとエールを送り続けている。

YouTubeチャンネル 未来へつながるしあわせな子育て塾【21世紀の賢い子ども|不登校|家庭学習|子育て】 

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