グルメ

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地元客にも愛される出雲大社門前の名店<そば処 田中屋>出雲

駄菓子店や家族連れでにぎわうレストランを経て、そば処となってから現店主で3代目。

幅広い世代を楽しませたいという初代からの思いを受け継ぎ、観光客はもとより地元客の信頼も厚い。

天ぷら割子そば(1,892円、写真)では、中太でコシの強い打ちたてゆでたての二八そば、天然エビと旬の野菜のサクサク天ぷらを堪能できる。

野菜はダシをとった後のカツオや昆布を肥料にする契約農家から届き、鮮度も風味もバツグン。

若い感性を生かしたお土産商品にも注目。

粉は石臼引きで、そば殻の“ホシ”が入った、香ばしい中太の麺。

ソバは北海道や日南、出雲など国内の産地からその時期おいしいものを使用する。

どっしりしたコシがあり、3枚目をいただくころにも存分に歯ごたえを感じられる。

 

つゆは昆布にカツオ、サバ、ウルメといった国産原料でダシを取り、地元大社で醸造されたしょうゆ、地伝酒などで仕込む。

砂糖を使わないためか、ダシの風味が濃厚に際立ち、後口のキレがいい。

 

天ぷらは衣が薄く、そばの味わいをぐっと引き立てる。

添えられた藻塩でいただくもよし、そばに添えてつゆを垂らすもよし。

2本添えられたエビは天然ものにこだわるため香りよく甘く、ぷりぷりした食感がたまらない!

 

野菜は出雲市のSPIRA FARM(スピラファーム)から旬のものを仕入れる。

化学肥料や農薬に頼らないこの農園には、つゆを作る際に出るこんぶやカツオのダシ殻、エビの殻に至るまで、肥料として再利用してもらっているそう。

 

メニューはバリエーションも豊富で、薬味とひきわり納豆でいただく納豆そばや、卵黄入りのととろでのど越しのいいとろろざるそば、かわいらしいお子様ランチなども。

また、そばと合わせて飲みたくなるオリジナルの日本酒やビールもそろえる。

田中屋としては9代を数えるそうだが、初代から続く「家族みんなで楽しめる」店づくりへのスピリットは健在だ。

 

平成25年の出雲大社大遷宮の同年、店舗をリニューアル。

そば店らしい環境配慮への取り組みや、そば文化にもっと親しんでもらいたいと開発された持ち帰り商品には、時同じくして跡を継いだ3代目・田中俊樹さんの若い感性が伺える。

 

お土産に最適なパッケージ入りそば、オリジナルの割子器やそばちょこなどは、地元に暮らす私たちも手にしたくなるほど。

 

店舗でふるまうように手打ちしたそばを急速冷凍し、店と同じつゆをパッケージした「歳寒の松そば」という箱入り商品もユニーク。

寒さ厳しい中にも常緑を保つ松と柏に、逆境にあって志を忘れないことをたとえる「歳寒の松柏」になぞらえた。

パッケージに描かれた松に積もる雪は、島根の県木・クロマツと、冷凍商品=雪をかけたシャレたもの。

込められた思いに、コロナ禍を乗り越えつつある今、グッときてしまうのは記者だけではないはずだ。

 

「ご当地グルメが、“ご当地”の人のものであってほしいんです。そばは、出雲はもちろん島根を代表する食文化。地域に暮らす人たちに親しんでもらい、その先に『今度来るあの人を連れていきたい』と思っていただける店になれたら」と田中さん。

嬉しくなるのは子どもの来店客の「おいしい!」の反応や、「そばってあまり好きじゃなかったのに、ここのは食べられる」と言ってもらえるとき…と謙虚な顔ものぞく。

まだ30代。自由な発想と確固たる信念が、大社門前、勢溜(せいだまり)の真横から発信されている。

 

 

そば処 田中屋

住所:出雲市大社町杵築東364【MAP】
電話:0853-53-2351
営業:11:00~16:00
休み:木曜日
駐車場:あり(2台)
HP:こちらから
Instagram:こちらから

 

(記事は2023年4月9日現在)

 

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