グルメ
ふっくら大粒大納言の極上甘味で和む<甘味喫茶 月うさぎ>出雲
19年前の開店当時は近隣になかったという和の甘味専門店。
ゆでたてモチモチの白玉あんみつ、香りのいいえびすきな粉で仕上げるあべかわ餅(もち)と並ぶ人気No.1が、「ここのじゃないと」と再訪するファンが多いぜんざい(650円、写真)。
潰れないよう丁寧に炊き、供するごとに味を調える大粒の大納言小豆を、店でついて香ばしく焼いた餅とともに器へ。
ほくほくした豆の食べ応えと、優しい甘さに満たされる。これからの季節はかき氷もおすすめ!
小豆は、安定して手に入るという北海道産大納言の大粒の品種。
じっくり炊き、味をなじませる…様子を見ながら3時間がかりの仕事だそう。
小豆一粒がこんなに大きいのは、豆好きを自負する記者もちょっと食べたことがない。
おもちは出雲産のもち米で、店内で搗(つ)いている。
おおむね3センチ四方、厚み1センチほどのサイズで5つ入っており、あぶった表面の香ばしい風味は格別。
ほくほくの小豆と口中で一体になる至福は、何ものにも代えがたい。
こちらも人気の白玉あんみつ(700円)。
少し時間はかかるが、作り置きせず注文ごとにゆでるというツヤツヤの白玉も評判。
みかんやリンゴ、キウイなどのフルーツ、ほどよい固さの角切り寒天とともに、あんを絡めながらいただく。
寒天や黒蜜など、店で作れるものはできる限り手作り。
あんはぜんざいと同じ豆をじっくり煮詰めて、粒感を残して仕上げる。
絶品の白玉やあんは、これからの季節かき氷で味わうのも◎。
「自分たちが出したいものを、もう一度食べたいなと思ってもらえるように作り続けてきました。
特別なことはしていないけれど、それでも『どこの店のよりもここのが一番』と言ってもらえるのがうれしい」
と店主。
あちこち名店を食べ歩き、独学で味を追求してきたそう。
和の甘味はシンプルなだけにごまかしがきかない、それだけに手抜きができずメニューを広げられなくて…と謙遜するが、開店から19年続いてきた理由がわかった気がした。
店内には座敷席とテーブル席の両方があり、店名にちなんだうさぎの置き物が棚を飾る。
窓から広がる田園に、時折一畑電車が走り抜けるのどかな景色も楽しみの一つ。