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使うほどに愛着のわく器を揃える水辺の店<日々花[Hibika]>米子
米子の中心部から中海のほとりに昨秋移転。
使い続けるほどに愛着のわく器や生活道具に加え、キレイめで着心地のいい服・小物も扱う。
窓から見える水辺の眺望も美しい。
店主のおすすめ
かご各種(写真は6,490円~16,500円)
買い物や収納に多用途に使えるかご各種。丈夫で経年変化も楽しめるのが魅力。
店内にはいたるところに、素材・大小さまざまなかごがあり、どんな風に使おうかとイメージがふくらむ。
「homspun(ホームスパン)」ブラウス(20,900円)
「chausser(ショセ)」トラベルシューズ(レディス22,000円、メンズ23,100円)
着心地や素材感などで厳選したブランドの中でも、流行りすたりのない、継続して作られているラインを中心に紹介している。
ショセのトラベルシューズもその一つ。
柔らかな本革と、世界的にも定評のあるビブラム社のソールでできており、手を使わず履ける足入れのよさと履き心地、雨にも強いのが特徴。
「一足買ったら気に入って、色違いのブラウンや白も」というリピーターも多い。
アパレルのエリアは自然光が入るので色も見やすく、フィッティングルームも広い。
靴下やバッグといった小物に加え、今後メンズも取り扱いを増やしていきたいとのことなので、夫婦で訪れるのにもおすすめ。
村上直子 作
リリーボウル(奥2点。白3,300円、黒33,520円)、Kaiプレート(手前3点。黒左から7,700円、5,500円。白7,480円)
信楽で人気の作家もの。さらりとした手ざわり、静かなたたずまいが印象的。
料理を引き立ててくれる黒、ぬくもりを感じる粉引や灰釉など、和洋を問わずふだん使いしやすそうな器を多くそろえているのも同店の特徴。
マグ(2,200円~)
茶わん(2,640円~)
漆器(4,400円~)
形や質感が違ってもあわせやすい雰囲気を持つ作家もの。どれを組み合わせても不思議となじみ、目にも楽しい。
「ここで買ったもの同士がけんかしない、という点には気を付けています。パッとみて惹(ひ)かれたものでも、テーブルで合わせづらいかも…と思えばお取り扱いを諦めることも(笑)」
とことん器への愛が深い、それがオーナーの田原あきこさんだ。
作家ものとはいえ、手に取れる価格でなければ意味がない。
生活者目線に立ち、扱う器は小皿やそばちょこなどで2,000円台、皿や鉢などは3,000~5,000円前後が中心。
同じような用途のものなら、金額ではなく好みを主眼に選んでほしいから、価格はなるべく同程度にそろえる。
「気に入った作品は、まず自分で使い心地を確かめ、さらにできるだけ作家さん本人にお会いして、本当におすすめしたいものだけにしぼって扱わせてもらいます」
チャーミングで明るく、何より「好き」が伝わる交渉に、入荷数年待ちと言われる人気作陶家らの信頼も厚いことは、想像に難くない。
結婚当初の引っ越し時に、段ボールの中でたくさんの食器が割れてしまうというハプニングを経験した田原さん。同じなら好みのものを購入したい…と出会ったのがこの世界だった。
もともとは建築士。
店舗経営は素人同然のところから、一軒ずつ作家に交渉して商品を仕入れ、店を始めたというから驚き。
今や全国各地にファンがおり、ここを目的地に飛行機で訪れる人も。
角盤町あった前の店から数え、この春でちょうどオープン10年。
中海を見渡せる好条件な土地と出会い、田原さんのセンスを生かして構えた新店舗は、店内の窓からも水辺の景色を望む。
アンティークを多用した什器(じゅうき)や照明、金具のひとつに至るまで、随所にこだわりが生きた作りになっており、ゆっくりと見て回るだけでも豊かな気持ちが満ちていく。
「壊れてしまっても同じのが欲しいと愛着を感じられる、生活に素直に溶け込むものを置きたい。器も服も、使う人の“人生”になっていきますから」
その言葉どおりに選ばれた器たちは店主と同じ、つつましくも楽しげな存在感をもって、ちょっぴり誇らしい顔をしている。