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コラム◇◆◇アンニョンハセヨ‼ 韓国 vol.5

暑さを乗り切る夏のご馳走「冷麺(ネンミョン)」

朴香善(パク・ヒャンソン)

韓国・ソウル特別市出身、出雲市在住

山陰中央新報文化センター韓国語講座講師

みなさん、 안녕하세요(アンニョンハセヨ) ‼

ジメジメした梅雨も終わりが近づき、もうすぐ夏本番を迎えようとしています。韓国の夏は大陸の影響を受けて湿度が低いため、幾分カラッとしています。とはいえやはり、暑さは日本とあまり変わりません。これからの季節、あまりにも暑い日が続くと食欲がだんだん衰えてきませんか? そんな時のために、今回は盛夏に欠かせない韓国のパワーフードをご紹介します。

なんといっても人気なのが冷麺。日本では夏の冷たい食べ物…というと冷やし中華をイメージしますが、韓国ではダントツで冷麺ですね!代表的な冷麺として「ピョンヤン冷麺」と「ハムン冷麺」の2つを挙げられます。どちらとも北朝鮮にある地名からその名称がつけられましたが、それぞれの麺には以下のような特徴があります。

まず「ハムン冷麺」は、芋類のデンプンから作るので、麺が細くもっちりとした弾力があります。コチュジャンと唐辛子を入れた辛いヤンニョムジャン(タレ)で混ぜて食べるピビム冷麺というメニュー名で好まれています。この辛〜い冷麺を食べれば、全身の毛穴から汗をかいてスッキリ!

そして「ピョンヤン冷麺」は、そば粉の含有量が多く、太い麺の歯ごたえが特徴です。牛肉などで取った出汁(だし)とトンチミ(大根を丸ごと汁たっぷりに漬けたキムチ)の汁を合わせたスープに麺を入れる「ムル(水)冷麺」というメニュー名で人々に親しまれています。スッキリした味わいの食べやすさで、食欲のない季節にぴったり。氷入りの冷たいスープまで飲み干すと、体の中が涼しさで満たされるようです。

私が韓国にいる時は、辛〜いハムン冷麺をよく食べていましたが、日本に来てからすごくおいしい冷麺を見つけたので、今はお気に入りメニューとして毎夏欠かせなくなりました。それは皆さんよくご存知の「盛岡冷麺」です。この盛岡冷麺は韓国のピョンヤン冷麺をルーツにしているそうで、初めて食べたときは、本場に勝るとも劣らない美味さに、思わず3日連続で食べてしまいました。

市販のパッケージにも載っているトッピングを入れてみると、さらに盛岡冷麺の美味しさがアップします。例えばキムチ(これは必須「宗家(チョンガ)キムチ」などの、少し発酵したものがオススメ)や、キュウリ、大根の甘酢漬け、ゆで卵、スイカを一切れ…など。思い思いのアレンジで深まる味、試してみてはいかがでしょうか。さらに、冬場は梨を入れたりするのもオススメです。

皆さん「えっ?夏の食べ物、って紹介してるのに冬でも食べるの?」と思われたかもしれませんね。そう!冷麺って実はもともと冬の食べ物だったのです。寒さの厳しい朝鮮半島では昔、冷蔵庫要らずの食べ物として愛されていたとか。冷暖房の普及した現在では想像できませんが、ルーツを知ると納得、ですね。  韓国には、冷麺の専門店が数多くあります。訪れた際にはぜひ一度、本場の味も体験してみてくださいね! 食でパワーアップしながら、暑い夏を乗り切っていきましょうー^ - ^

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