SPECIAL TOPICS

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山陰ラーメン事情vol.8

山陰ラーメン事情 vol.8

ラーメン店ではないが、ラーメンがおいしいと評判な居酒屋や食堂、またラーメン専門店でも 閑静な住宅地や山間地など、意外なところに潜む穴場的なラーメンをご紹介。

(記事は2025年3月28日現在)

意外なところに潜む穴場的なラーメン

海の駅とまり 元気海

新鮮なひらめが味わえる食事処

湯梨浜町・泊港にある井戸海水式陸上養殖場で育てた「湯梨浜ひらめ」を楽しめる食事処。「ひらめ元気丼」や「ひらめフライ定食」などと並ぶ人気メニューの一つ「ひらめラーメン」は、ひらめの骨を焼いて丁寧に引いた出汁から、ふんわりと上品なひらめの香りが漂い、一口でひらめの旨味を堪能できる。トッピングには、炙りひらめの身、もやし、ネギ、そしてレモンが彩りを添える。特に炙りひらめのクセのない上品な味わいがスープと絶妙に調和し、ひらめの旨味を引き立てる。単品メニューの「ひらめお刺身」を組み合わせ、ひらめ尽くしで贅沢に味わうのもおすすめだ。

 

住所:鳥取県東伯郡湯梨浜町泊(新港内)

駐車場:あり

 

ふるさと日南邑 レストラン

緑に囲まれた施設の リコピンたっぷりラーメン

研修、合宿からキャンプまで、緑豊かな自然の中で満喫できる「ふるさと日南邑」のレストラン。おすすめは「トマトラーメン」。特に日南産トマトのシーズンはぜひ食べたい一杯だ。白い器にトマトの赤とレタスの緑が映える。スープを飲むと、まるごとトマトを飲んでいるような豊かな旨味と酸味が口に広がりおいしい。途中でタバスコとチーズを使いイタリアンテイストの味変を楽しんだ後で、残ったスープにライスを入れて追いチーズをすればリゾット風〆ライスとなりトマトの旨味を一滴残さずに堪能できる。

 

住所:鳥取県日野郡日南町神戸上2962‒1

駐車場:あり

 

赤レンガ

大山町の住宅タウンにたたずむ 中華そば

大山町の閑静な住宅地・ナスパルタウンに2017年7月にオープンした「カフェ 赤レンガ」。その後、21年5月に「中華そば」の店として新たにスタートした。店主の実家は東京・神田の蕎麦屋だったそうで、昔ながらの「東京神田中華そば」が看板メニュー。鶏ガラと魚介を合わせたWスープに甘みを感じる濃いめ醤油味。スッキリとしながらも奥深い味わいだ。トッピングは焼豚、メンマ、青ねぎ、ナルト、海苔。焼豚は、芳ばしく焼かれていて、肉の食感と旨味がシッカリと感じられる。そしてシャキシャキねぎ。全体に和を感じさせ、蕎麦に通ずるような風合いで、どこか懐かしさ漂う味わいが楽しめる。

 

住所:鳥取県西伯郡大山町赤坂710‒8

駐車場:あり

 

若鳥焼 あおみどり

鶏料理店の本格中華そば

2022年8月、境港市にオープン。自家解体した新鮮な大山どりを使用した鶏料理を提供している鶏料理専門店。ランチタイムには「中華そば(醤油・塩)」が楽しめる。「中華そば(醤油)」は、大山どりの澄んだ旨味に北國醤油の深いコクが加わる。鶏の香りと煮干しのほのかな風味が調和した上品な味わい。一方、「中華そば(塩)」は、バリ島の塩とあさり出汁を組み合わせ、ほんのり甘みのある丸みを帯びた塩味が、大山どりの芳醇な香りと旨味を引き立て、さらにアサリの繊細な旨味がじわりと広がる。どちらも甲乙つけ難いおいしさで、大山どりのうま味たっぷりな本格的な中華そばが味わえる。

 

住所:鳥取県境港市元町29‒2

駐車場:あり

 

お好み焼き ひろしま

お好み焼きから麺まで 広島グルメ推し

2023年4月、松江市菅田町にオープンしたお好み焼き店。広島各地のご当地お好み焼きをはじめ、広島名物の麺料理も楽しめる。広島の汁なし担々麺で人気の「くにまつ八丁堀本店」とコラボした「汁なし担々麺」や、ピリ辛がクセになる「広島つけ麺」。さらに、昨年11月から新たに登場したのが「広島ラーメン」(1日10食限定)。茶褐色に濁った豚骨醤油スープは、あっさりしつつもコク深い〝こっさり〟な味わいで、シンプルで飽きのこない味。麺には特注の広島ラーメン専用麺を使用していて、程よい歯ごたえとスープの相性がよく、広島の味を存分に堪能できる一杯。

 

住所:島根県松江市菅田町180 アイウォーク菅田ビル 1F

駐車場:あり

 

そば富

ないものはない店のラーメン定食

玉造温泉街の路地裏にたたずむ、居酒屋風の食事処。店頭に「ないものはない」と大きく掲げられた看板の通り、そばやうどん、ラーメンに加え、一品料理、丼物、定食、洋食までメニューがそろい、どれを選ぶか迷うほどだ。その中でも「ラーメン定食」は他店にはない逸品。ご飯が付くのはもちろん、「天ぷら」「小鉢」「漬物」まで贅沢にセットされている。ラーメンはしっかりと煮込まれた鶏ガラ出汁で口あたりスッキリとしながらも旨味豊かでおいしい。天ぷらは揚げたてでサクサクの食感が心地よい。天つゆでさっぱり食べるもよし、ラーメンのスープに浸して風味を楽しむもよし。「ラーメン定食」ならではの味を堪能できる。

 

住所:島根県松江市玉湯町玉造1197‒7

駐車場:あり

 

多納屋noods さぶろく

居酒屋の濃香鶏白湯ラーメン

雲南市の加茂中駅から少し入った場所にある居酒屋は、独学で作り始めたラーメンが評判を呼び、今ではラーメンが人気の店になっている。基本は「鶏白湯ラーメン」で、スープを口に含んだ瞬間に、鶏の濃い旨味と甘い香りが口に広がり、香りが鼻にぬけていく。濃厚で濃香だ。味は塩をベースに少し醤油を加えてあり、とがりのない塩味が効いていて美味。麺は「出雲たかはし」製の中細縮れ麺を使用しており、スープとの相性も抜群。またレモンたっぷり「レモン白湯ラーメン」もおすすめ。レモンと鶏白湯が、見事に調和していておいしい。他にもラーメンメニューがそろっており、完成度はラーメン専門店にも引けを取らない。

 

住所:島根県雲南市加茂町加茂中870‒1 (3月下旬移転オープン)

駐車場:あり

 

お食事処 大衆

ローカル食堂の名物チャンポン

奥出雲町役場 仁多庁舎の向かいにある食堂では、「チャンポン」を冠したメニューが8種類も揃う。定番の「チャンポン」をはじめ、「塩チャンポン」「カレーチャンポン」「ミルクチャンポン」など、バリエーション豊かだ。なかでも「チャンポン」は、大きな丼になみなみと注がれたボリューム満点の一杯。スープはイリコ出汁をベースにした澄んだ味わいで、じんわりと体に染み入る優しい風味が特徴。具材には豚肉、海老、イカ、野菜、かまぼこ、紅生姜と、彩りも豊か。特に紅生姜の爽やかな酸味とピリッとした辛味が、スープのすっきりとした旨みを引き立てる。イリコの風味が香るスープは、最後の一滴まで飲み干したくなるおいしさだ。

 

住所:島根県仁多郡奥出雲町三成356‒2

駐車場: なし

 

和洋猪食処またたび

美郷町の名物・ 山くじらラーメン復活

2021年に閉店した「日本料理石楠花」で、かつて提供されていた美郷町の名物「山くじらラーメン」。その味をぜひ復活してほしいと地元の声に応えて、料理長だった山本さんが22年に美郷町粕渕に独立開業させた店。スープは、豚骨ならぬ猪骨を7時間じっくりと煮込んだ出汁に、美郷町産「まほろば味噌」をベースとした白味噌ブレンドを使用。コク深く、濃厚ながらも臭みやクセのない仕上がりで、香ばしい味噌の風味が際立つ。さらに、粉山椒が爽やかなアクセントを添える。トッピングのローストイノシシは、低温調理によってうま味を閉じ込め、脂の甘みが引き立つ一品。こちらも臭みがなく、猪肉ならではの滋味深い味わいを楽しめる。

 

住所:島根県邑智郡美郷町粕渕252

駐車場: あり

 

らーめん善

山里に潜む隠れ家的ラーメン店

山あいの浜田市下有福に、2019年5月にオープンした「らーめん善」。静かな山里にありながら、ラーメン好きの間でしばしば話題になる店。看板メニューの「善らーめん」は、細かな背脂が浮かぶ白濁したスープは、芳醇な醤油にほんのりと野趣が感じられる豚骨のコクに鶏ガラのすっきりとした旨味が合わさる。さらに魚介系の旨味が下支えする重層な味わい。麺はスルスルとした口当たりにモチッとした食感の中細縮れ麺。特筆はチャーシューで、国産の豚肩ロースを燻蒸(くんじょう)した後に熱いタレに数時間漬け込む独特な調理法で、薫香が芳ばしく、肉のうま味がほどよく感じられる釜焼き風で美味。チャーシュー増しにするのもおすすめ。

 

住所:島根県浜田市下有福399‒1

駐車場: あり

 

今回紹介した以外にも、役所の食堂や温泉施設の食事処、蕎麦屋、カフェなどなど、思わぬところに思わぬラーメンが潜んでいる。昨今は、SNSなどネットでたくさんの情報が得られる便利な時代なので、そんなラーメンを探して、お気に入りの店を見つけるのも楽しいのではないでしょうか。

◎文・写真:松村 隆久 (まつむら・たかひさ)

フリーカメラマンを本職とする傍ら、ラーメンの食べ歩きをライフワークとする。自分流のラーメンを求めて、山陰各地をはじめ、関東、関西、九州など県外へも足を運び食べ歩いたラーメンは数知れず。

ブログ・麺ある記 山陰―ラーメンの旅―(こちらから)、フリーペーパーLazudaコラム、日刊ラズダ執筆中。

ぶらっと旅ガイド「 あ・るっく2025春」TOPページ:こちらから

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